第42話 一人目、牧野カエデ
二人を部屋に案内して、俺はふと考える。
一緒にいたという友達はどうなっているのか?
あの受付トートさんの所を通らずにこの世界に来れるのだろうか?
そして、地球に帰る手段はあるのか?
どれだけ考えても答えはない。
翌日、俺はルクスに訪ねてみることにした。
「この国に俺と同じような格好をしたものはいないでしょうか?
たぶん3日ぐらい前に急に現れた身元不明の者、いや、出身の国を日本もしくはジャパンと言う者です。」
「ヨシノブ殿とですか?それに身元不明で出身が日本かジャパンですか?調べてみないとわかりませんが・・・」
「お手数ですが頼めないでしょうか、それと見つかれば保護も願いたいのです。」
「わかりました。やっと頼ってくれて嬉しい限りですね。」
ルクスは嬉しそうにしていた、父ルーズ王を助けて貰い、剣も貰った、これだけ多大な恩が出来ているのに全く報酬を出せていない、どうやったら返せるか悩んでいるところの頼みであった。
ルクスは早速軍を使った大掛かりな捜査を行う、そして、三人見つかった。
どうやらそれぞれ悲惨な目に合っていたようだった、
一人は奴隷として売られており、
一人は斬られているところを発見されポーションにより何とか一命を取り止めていた。
一人は娼館で発見された。
俺は発見され次第、会っていく。
「俺は前田ヨシノブです、君と同じ日本人だよ。」
「にほんじん・・・よかった助かったんですね。私はカエデ、牧野カエデと言います。」
奴隷として売られていた女の子は俺にすがり付き涙を流して喜んでいた。
俺は頭を撫でてカエデが落ち着くまで待った。
「失礼しました。もう大丈夫です。」
暫くして泣き止んだカエデは恥ずかしそうにしていた、
「落ち着いたみたいだね、君を保護出来たのは良かったと思う、でも、残念だけど、日本に帰る術は今のところ見つかっていない。」
「・・・やっぱり、日本じゃ無いんですね。」
「ああ、此処は異世界でマインズ王国というところだ。」
「そうですか・・・それで私はどうなるのでしょう?」
カエデは不安そうな表情を浮かべる。
「君が良ければ暫く俺の庇護の元進路を探すといい。」
「そんな、ヨシノブさんに悪いです。」
「かまわないよ、幸い俺はそれなりに力を得る事が出来たからね。
同郷の子供が困っていたら手を差しのべるべきだろ?」
「・・・ありがとうございます。」
「それで聞きたいのだけど、那須タケフミか那須マイのどちらかは君の友達かい?」
「マイもいるんですか!」
「ああ、先に保護をしている。彼等から聞いた情報でもしかしてと思い捜索したんだ。」
「マイのお陰なんですね。会ったらお礼を言わないと。」
「そうすると良いよ、ところで君が此方に来た時の状況で覚えていることはあるかい?」
「此方に来た時ですか?私とマイとミキあとユカリの4人で帰宅していて、マイのお兄さんに会ったんです。
そして、マイが声をかけた時に地面が光ったと思います。」
カエデは良く見ていたようだった、状況を教えてくれるが世界を繋ぐ方法に検討がつかない。
「そうかい、それで此方に来て・・・」
「はい、知らない野原にでて、訳もわからず、道を歩いていたら、馬車に乗ったおじさんに捕まって、手枷をはめられて、街に連れて来られました。」
境遇を思い出したのか目に涙が浮かんでいる。
「そうかい、辛かっただろう・・・ごめんね、思い出させてしまったね。」
「いえ、良いんです。」
「もう大丈夫だから。」
俺はカエデの頭を撫で、船に連れて帰った、
「カエデ!」
「マイ!」
マイとカエデは会った瞬間抱き合った。
「カエデ大丈夫だった?」
「うん!危ないところだったけど、ヨシノブさんに助けて貰ったよ。
それにマイのお陰だって聞いたよ。ありがとう!」
「私なんて何も出来てないよ、でも、良かった!」
二人は泣き合い、再会を喜ぶのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます