第34話 副官

「いざ!出航!」

大和は港を後にする!

俺は艦橋に上り出航を見る。

艦橋にいるのはサリナだけにしている。


信用していない訳ではないが内部で何かされても困るので、案内した居住区以外の場所は全て閉鎖し、入れないようにしていた。

そして、ルイスは侍女達を引き離す事が出来なかったので艦橋に入れず割り振った長官室にいてもらっている。


こう考えると今、信用出来るのはサリナだけなのかも知れない。

「サリナさん、副官に任命したいのですが受けて貰えますか?」

「ヨシノブさんが望むならお受けしますが、副官とは何なのですか?」

「えーと、俺のスキル、例えばこの乗り物を操作出来るようになるみたいですね。」

「私で宜しいのですか?」

「今俺が信じれると思うのはサリナさんだけです。」

「ヨシノブさん、喜んでお引き受け致します。」

俺はサリナを副官に任命する。


「凄い、こんな事が出来るんですね!」

「解るようになった?」

「はい、解ります!」

サリナは俺の手を握ってくる。

「ヨシノブさんが信用してくれて私は嬉しいです。」

「サリナさん、これから色々あると思うけど、俺を支えてくれるかな?」

「はい、二人で進んで行きましょう。」

凄く喜んでくれていたが、その後、俺が昇進すると副官の数が増えると伝えると少し不機嫌になった。


「むぅー!私だけじゃないんですか!」

「まあ、数は増えるみたいだけど、簡単には任せられないからね。

今信じれるのはサリナさんだけだと言うことは間違いないよ。」

「今はそれでいいです。でも、私がヨシノブさんの一番で居続けますからね。」

サリナの笑顔は眩しかった。


船旅は順調に進むが、ローラン王国の海上を航行中に5隻の船らしき陰が見えた。

「サリナさん、あの船こちらに向かって来てますよね。」

「そうですね・・・あれは海賊です!海賊旗が上がっています!」

「あの距離で見えるの?凄いな!」

俺は双眼鏡を使い見ると確かに髑髏マークの旗が上がっている。


「ヨシノブさん、何を落ち着いているんですか!5隻で向かって来ているんですよ!応戦準備をしないと!」

「サリナさんも落ち着いて、この船が弓矢で沈むと思う?」

「あっ!」

「そういうこと・・・でも、主砲の使用チャンスだよね?」


「あの?ヨシノブさん?」

「主砲、撃ち方よーい!」

主砲が海賊船に向く、

「あの?ヨシノブさん、主砲はやり過ぎでは?」


「うちーかた、始め!」

46センチ砲が轟音と共に火を吹く!


まだ遠くの船が一隻爆散する。


「これはヤバい、癖になりそう・・・

続けて撃て!」

海賊船は海の藻屑となる。


ただ、船内は轟音にパニックを起こす者もいた。

俺は伝声管等を使い、こちらの攻撃だったこと、そして、海賊船5隻を沈めた事を伝えた。

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