第2話 『パシフィック・リム:暗黒の大陸』
巨大ロボットが怪獣とガチンコバトル。
いいね、大好きだ!
そんな男子の心を鷲づかみにしたのがパシフィック・リムという映画だ。
続編のアップライジングでは路線変更してあまり興行収入が良くなかったことでも知られている。
そんなパシフィック・リムが、Netflixオリジナルアニメとして帰ってきた。その名も『パシフィック・リム:暗黒の大陸』。
怪獣に侵略され人が住めなくなり、「暗黒の大陸」として知られているオーストラリアを舞台に描かれるパシフィック・リムだ。
時系列としてはアップライジングの後になる。全2シーズン予定で、現在は1シーズン全7話を配信中だ。
そんな『パシフィック・リム:暗黒の大陸』を今回は語っていこうと思う。
ストーリー
パシフィック・リムは「人間VS怪獣」を描いた作品だ。人類の敵である怪獣に、人間が立ち向かうというヒロイックな物語となっている。
いわゆる、ロボット物の王道を突き進んでいた。
しかし「暗黒の大陸」は違う。もはや壊滅しているオーストラリア大陸を舞台に、主人公達はマッドマックス的な物語を展開する。
荒廃した世界に人の姿はほとんどなく、小型の怪獣が闊歩し、人間は人間同士で略奪し合っている。全くもって救いがない。
そんな世界で、主人公の兄妹は、イェーガー(巨大ロボット)のパイロットで救援を求めて旅立った両親を待っていた。
ある日ふたりは、居住地で訓練用のイェーガーを見つける。起動するイェーガーだったが、訓練用なので当然武器がない。しかしそれに呼応するように巨大怪獣が現れ――というのがストーリーの冒頭。
居住地が壊滅し仲間を失い、命からがらイェーガーと共に脱出した主人公兄妹は、生きているかもわからない両親を探して旅をする。
その中で言葉を喋れない少年と出会ったり、悪意ある人間に捕まったりしながら両親の元へと辿り着く。
マッドマックス的な世界の中、旅を通じて主人公兄妹を含めたキャラクターの成長も描かれている。
ストーリーとしては、既にやりきった感のあるパシフィック・リムの世界観をより「掘り下げる」ことに注視していた。
そのため、従来のパシフィック・リムを期待していた視聴者からすると、はっきり言って面白くない。
俺たちが求めていたパシフィック・リムらしさは、ラストの7話でしか描かれていない。でもそこが良かったから、全て許せてしまう。パシフィック・リムはずるい。
パシフィック・リムとして期待してはダメだ。あくまでもスピンオフ作品として見ると、「暗黒の大陸」に対する評価は変わってくる。
その前提でも、正直つまらなかったので、下記にその理由を記す。
キャラクター:D
全てのキャラクターに言えることだが、みんなアホすぎる。
主人公兄妹から悪役に至るまで、全て行動が短絡的だ。これはNetflixという媒体が抱える問題でもあるのだが、ハリウッド然り「海外のその他大勢へ向けて発信する」のを大前提とした場合、どうしてもこうなってしまう。
視聴した人が理解しやすいように、最大公約数的なキャラクターを作らざるを得ないのだ。
そのため「誰にでも理解できる」を突き詰めると、短絡的な行動を取るアホなキャラクターが出来上がる。
海外の映画を見ていて「何でそんなことするんだ?」となる理由がこれだ。
以前デトロイトというゲームで遊んでいたが、「警察にばれないように行動する」で横断歩道で立ち止まっていたら警察に捕まったことがあった。
日本人ならここは「平素と同じ行動をすることで怪しまれないようにする」と考えるが、海外ならまず「逃げる」が違和感の無い選択肢になってしまうのだ。
はっきり言って、日本人の目は肥えすぎている。最古の長編文学が日本で誕生しているのも納得だ。漫画やライトノベルなどで異様に目の肥えた日本人は、世界でも異質と考えるべきだと僕は思っている。だからこそ、日本のドラマは小さいことを気にしすぎて大味にならずつまらない、という弊害もあるのだけど。
それはともかく、上記の通りキャラクターの魅力は低い。
見ていてストレスを感じる大部分が、キャラクターのアホすぎる行動だった。まともに見るとバカを見る。スマホゲームを周回しながら見るのをオススメする。
作画:A
3Dアニメしゅごい。
亜人を手がけたスタジオが手がけているのだから、そりゃ凄い。
イェーガーや怪獣の重厚さをちゃんと表現しつつ、パシフィック・リムらしい動きも忠実に再現している。
これだけでも正直見る価値はある。
演技:A
声優さんの演技はどれも素晴らしい。
怪獣の声もちゃんと映画の声だった。パシフィック・リム好きなら思わずゾクッとくる。
主題歌:-
パシフィック・リムのメインテーマアレンジが聴けるだけで、僕ぁ幸せだよ。
まとめ:実写版パシフィック・リムと同じ感覚で見てはダメなアニメ
まだシーズン1なので何とも言えないが、ストーリーの冒頭と考えるなら非常に丁寧に描かれたパシフィック・リムだ。
しかしながら、全7話に対して6話を使って丁寧に描くのはどうかと思ったのも事実。
パシフィック・リムの世界を掘り下げることには成功しているが、パシフィック・リムファンが求めていたものではなかった。
特に中盤の「人間同士のいざこざ」は受け入れられない人が多いだろう。終盤のカタルシスにとっては必要なシーンと思えるが、「巨大ロボットと怪獣のプロレスが見たいんだよ!」って人には全く不要だ。
そういう意味では、新しいパシフィック・リムを拓こうとして旧来のファンに受け入れられなかった凡作、という立ち位置になってしまうのが悲しい。
シーズン2ではもう少し頑張って欲しいと思う。
オススメ度:★★☆☆☆
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