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家に帰ると、玄関先にはスーツを着た男性が二人立っており、恐怖に怯えた母親をたしなめるように話しかけていた。
「何か用ですか。その人に物売りつけるのは無駄だよ面倒なことに俺が成年後見人になっちまってんでね」と声を掛けた。
「あぁ、君がヒサシさんですか」と長身の方の男が返した。
「どちらさん」答えを聞くまでもないとヒサシは分かっていた。刑事だ。
殺されたおとべなおやについて捜査をしているのは想像するに易しい。
真っ先に話を聞きに来るだろうとは思っていた。なんせ母親の恨みは100年続きそうなほどのインパクトがあったからだ。
「おとべなおやについて、何か知っていますか?」
「弟を殺した位のことしか知りませんね」
「昨日はどこにおられましたか?」
「知人とドライブに行ってました」
「そのご友人は?」
「澤部リョウです。弟の同級生です」
「ちなみにお母様は、その時間何をしてましたか?」長身の男は母親に聞くでなく、後見人のヒサシに確認を求めてくる。精神が狂っていることが傍から見ても取れるのだろう。
「儀式でもしてたんじゃないですか、おとべが死ぬように」とヒサシは冗談を口にした。
「少なくとも母はあいつの死を望んでましたからね。犯人が誰であれ感謝してると思いますよ」
「なるほど」刑事は冷ややかな目でヒサシを見た。物怖じしない態度が気に食わないのか、それとも何かを隠しているのではないか、そんな疑念の目だった。
「まぁ、また何かあればお伺いを立てますので、その折はよろしくお願いします」と言って2人は去っていった。
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