歴史上の高名な測量家、かの伊能忠敬を主人公とした、いわゆる異世界転生もののファンタジー作品。
作品紹介文にある「みんな思いついたけど」の文言の通り、いわゆる出オチ的な発想を起点にしたお話です。
ファンタジー世界に転生する際、何か上位存在的なものから与えられる特殊能力、すなわち異能をモチーフにした物語。
とはいえ決してそればかりではないというか、つい「それでこの先どうすんの?」的な野次馬根性から惹きつけられてしまう(そしてなんやかや読まされちゃうんだからすごい)ところが大変魅力的でした。
キャラクターが好きです。伊能忠敬。誰でも名前は知っているであろう彼に、何か特定の性格等のイメージはなかったはずが、でもなぜか「わかる、こんな感じっぽい」と思わされてしまう謎の説得力。
他にもモブというか、それぞれそんなに出番があるわけでもない脇役たちの、でも妙に個性的でなんだか好感の持てるところも素敵。
全体的にゆるい脱力系の雰囲気でありながら、でもファンタジーらしい戦闘のような一幕もあったりして(しかもそれを異能と知恵を駆使して切り抜けるのがまた良い)、なんだか普通に楽しんでしまうところが嬉しい作品でした。最後の大オチが大好き!