第10話

「霊好ちゃん、もうすぐ着くよ」


「んー?わかった。長いようで短かったね」



寝ていたから、そこまで長くは感じなかった。

窓から外を見ると空は真っ暗とまではいかないがそれでも暗くはなっている。

現在の季節は夏だけどもう終わりな時期なため日が短くなってきてる。



「…ねぇ、霊好ちゃん。さっきのあれって何だったの?」


「あれ?ああ、あれは恐らく、猿夢と呼ばれるものだよ。所謂怪異というやつだ」


「怪異?」


「うん。妖怪や幽霊などとはまた違った不思議なものだよ。厄介な事に怪異にもよるけどだいたい怪異の影響を回避する手段はないんだ」



対処法も普通の人間なら何もできずに殺されるかしてしまう。

悪質な初見殺しみたいなものだ。

特に猿夢のような空間に引き込んでくる怪異は空間から出る鍵がわからないと出ることができない。

猿夢の場合はそれが夢から覚める意思かな。



「うーん…?」


「…まぁ、難しく考えない方がいいよ。普通なら怪異に出会うことなんてほとんどないし」



今回は運が悪かったのだろう。

しょっちゅう怪異に絡まれたら精神的にも肉体的にも持たない。



「…帰ったらしばらくゆっくりしようかな。最近は少し動きすぎた」


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