ミソ

「ミィーーーソミソミソミソミソミソミソミソミソミソミソミィーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

     ミィーーーソミソミソミソミソミソミソミソミソミソミソミィーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 「急にどうしたんだよ」

「見りゃわかるだろ セミの真似だよ」

 「いや分かんねえよなんだよミソミソって」

「お前ミソミソゼミ知らねえのか」

 「ミンミンゼミしか知らねえよ」

「日本人なんだからミソミソゼミくらい知っとけよ」

 「外国人が日本の映画見るとセミの鳴き声は雑音にしか聞こえないらしいが 日本人もミソミソゼミはしらないと思うよ」

「ってことはあれも知らねえのか、ソノヒグラシ」

 「ヒグラシしか知らねえよ 地味に『日暮』って漢字合ってんの腹立つな」

「なんか明日の命も保証できないからそういう名前なんだってさ」

 「たいていの虫はそうだと思うよ」

「ほら、ホラゲあるじゃん『そのひぐらしの泣く頃に』って」

 「ホラーっていうかもっと現実的に怖そうだな」

「あれは知ってるだろ、アブラウリゼミ」

 「ネーミング雑かよ」

「せっかく卵から孵ったのに土の中から全然出てこないから油売ってんじゃないかっていうことでそういう名前なんだってさ」

 「普通セミはそうなんだよ」

カネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネ

「あ、ほらソノヒグラシ鳴いてるよ」

 「確かに金を欲してそうな鳴き声だな」

ミィーーーソミソミソミソミソミソミソミソミソミソニコミィーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「あ、じゃあ今のがミソミソゼミってやつか」

「ちゃんと聞いてろよ 今のはミソゼミだよ」

 「ほんとになんなんだよ」


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