第20話 初めてのプレゼント選び その2

 桜咲に連れられて訪れたファーストフード店にて、夕食を食べ切れるのかどうかわからなくなるくらいボリューム満点なハンバーガーをごちそうになり、せっかくだから、と近場を歩くことになる。


 TKドームシティの近くには商業施設があって、俺たちと同年代の男女がいっぱいいた。


 当然、中にはカップルみたいな連中だっている。

 なんとなく俺は、桜咲と2人でこの場にいることに居心地が悪くなってしまった。


 そもそも俺は、結愛とだって2人きりでどこかへ出かけたことがないのだ。

 いつも紡希がいたからな。


 結愛に一言伝えてあるし、本当にただ買い物をしただけなのだから、後ろめたく思うことはないはずなのだが。


「桜咲さん、ちょっと……高良井さんへのプレゼントになりそうなもの、ここで買っていいか?」


 とうとう俺はそんな提案をした。

 罪悪感から逃れるべく、結愛のための用事、という理由を付けてしまいたかったのだ。


「お、いいじゃん、瑠海も選ぶの手伝ってあげよっか?」


 やたらと乗り気な桜咲に導かれて、俺は商業施設のエスカレーターを上がっていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る