第35話 特別な感じと新ステージ その1

 名雲家で一夜を過ごして以降の結愛と、初めて学校で会うことになる。


 名前呼びになろうが、俺たちは相変わらず学校では知らない人同士のフリをしていた。


 教室のいつもの席で、勉強をしつつも時折結愛の姿を目で追う。

 この日も結愛は、いつものベランダにいて友達と談笑していた。


 だが、学校内では友達いっぱいのリア充なのに、両親と不仲なことから「家族」という枠組みの中ではぼっちになってしまう、ということを知った今、違う印象を持つようになった。


 教室内に限ったこととはいえ、結愛と関わりないフリをするのは結愛を傷つけることになるのでは?


 俺たちは恋人同士ではないが、たぶん友達よりはちょっとだけ親しい仲だ。

 結愛からすれば、たとえ教室内でのことだろうと、他人のフリをされることに寂しさを感じてしまうかもしれない。


 寂しがりなところを知ってしまった後なだけに、余計にそう思った。

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