平凡な日常の難しい冒頭
いつもの朝。
いつもより、ほんの少し早い時間。
目覚めると、窓際で小鳥が首をキョトキョト動かしていた。
何て種類の小鳥だろう。
小さくて愛らしい。
私は軽くあくびをしてベッドから足を下ろす。
そのかすかな動きに空気が震え、バサバサと小鳥は飛び立ってしまう。
いつもの朝、いつもの部屋。
見慣れた風景に退屈さえも感じない。
階下に降りてコーヒーを沸かしながらテレビをつける。
この時間なら、天気予報の時間だ。
『……、今日も暑い日になるでしょう』
アナウンサーは昨日と同じ顔で律儀に予報を告げている。
すぐにコマーシャルに変わって、再び彼女の顔を見るのは判で押したように5分後。
音量を小さく絞り、それから、黒いテーブルに置いてある新聞に目を止める。
なにかの事故があって、なにかの事件が起きている。
個人的には関係のないニュースばかり。
コーヒーがポットで沸いた音がする頃、家人も階下へ降りてくる。
「遅れる!」と、息子が慌てて階段を降りてきて、食事もせずに飛び出していく。
いつもの朝。
いつもの時間。
変わりばえのしない平凡な日。
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日常を描くって、どういうことだろうか。そう考えて書いた文章です。
小説の冒頭として、やはりこの文章は退屈かもしれません。
実は、奥森ゆうや様のエッセイで平凡な日常を書くことが難しいと書かれており、私は日常ってあまり書いたことがないって気づいたのです。
日常を冒頭に書いて、退屈な内容でうまくいかないそうです。確かに、異世界ファンタジーを書くのに、これは難しいかもなんて、思ってしまいました。
小説の冒頭に日常をもってきて、はたして、その後を読んでもらえるのでしょうか。これは難しい課題ですよね。
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