Lyric「わたしのなかのわたし」

雨 杜和(あめ とわ)

友へ


 トタン屋根をたたく雨音が聞こえてくる……



 雨は次第に激しさをまして、飾り窓をつたい

 パソコンを打つ手に、寄り添い

 それから、しずかに空気に染みこむ

 ちょうど、あなたのように



 あなたは、何を悩んでいるの?

 あなたに空っぽの心を満たすものはあるの?



 あなたは不条理な世界に生きる敗残兵であり

 停滞とともに生き、悩み、苦しみ

 そして、人のわずかばかりの優しさに涙ぐむ


 茫洋とした日々のなかで

 息をすることで命を削り


 少しの慈しみにも飢え、そして、ただ、孤独に存在する



 あなたは、何を悩んでいるの?

 あなたに空っぽの心を満たすものはあるの?




 雨の音は……


 わたしを憂いの先へと追いやる

 苦しみは消えることを拒み


 心のよどに静かに溜まる




 助けることができないのです……

 わたしには




 だから、ただ、祈るように唱えている



 あなたは、何を悩んでいるの?

 あなたに空っぽの心を満たすものはあるの?



 今日の、この瞬間とき


 せめて微笑みだけでも浮かべることができるならば




 醜悪な世界で生きるあなたへ

 その苦しみを正面から受け止める



 わたしの中の私

 わが古き友よ



****************

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