第4話 美しい竜



 そこは、地の底に作られた、日の入らない真っ暗な場所だ。


 一度その監獄に入った、いや、落とされたものは死んでも出る事はできない。


 監獄の中には、食べ物も水あるらしいが、他には何もない。そこには、気が狂うような環境があるのみ。


 だから、入った者は三日も持たず気が触れてしまうのだとか。


 私はそんな監獄に落とされた。


 内部は言われていた通り、真っ暗で何も見えなかった。


 でも、幸いな事に自生している果物や、どこら辺からか湧き出ている泉があったため、生きていくだけはできそうだった。


 しかし、本当にできる事はそれだけ。


 それ以外は何もない地の底だった。


 私はだんだん気が狂いそうになってきた。


 何日たったか分からないが、とうとう幻聴が聞こえ始めてきた。


 幻も見え始める始末。


 しかし、そこで思わぬ出会いを果たした。


 監獄の奥。


 光のないはずに場所で、光るものを見つけて歩き出した私は、それを発見したのだ。


 丸くなって眠っていたそれは、竜だった。


 けれど、聞いていたような竜――生贄を求める真っ黒で強そうな竜ではなく、綺麗な白い色の、とても優しそうな雰囲気のする竜だった。


 私は思わず、傍によってその体に触れていた。


 竜の体は固い鱗に覆われていたけれど、つるつるしていて、なめらかで、ここちよかった。


 竜は、眠りから目を覚ます。


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