その2


 『仮の面』は魔法少女の敵対組織悪の組織。 構成員は下級多数と中級約200名に上級役員約30名、最上位幹部12名。 かなりの大所帯の組織だ。


 位が上がるにつれて与えられる仕事の役割やノルマの量も増えていき、最上位幹部になると一つの世界を任されるようになるらしい(噂で聞いた)。


 下級の構成員は一等と二等があり、何方も役職名はなく、識別番号も数字のみの簡易的なものになっていて、全ての『仮の面』構成員は二等の下級構成員から始まる。


 二等の扱いはアルバイトのようなもので、制服が与えられたり、一時的に担当場所の拠点での衣食住や給与の保証をされたりする。 しかし、担当場所で目的に目処が立つと、大抵は少々記憶の処理を施されてから解雇される。


 担当者が『こいつは使える』と判断された達は一旦本部まで連行……失礼。 御同行していただいて正規雇用(の、ようなもの)の手続きを行い、二等から一等の下級構成員ヘ昇格する。


 一等の扱いは殆どが中級や上級役員の雑用係で、二等との違いは目的に目処が立っても解雇されない事ぐらいだろう。 下級構成員の役割は中級、上級の補佐であり、お膳立てを手伝う役。 魔法少女達の敵としていうならば、『雑魚』にあたる。 ここから昇級するには、根気強いノルマの達成と安定した質の仕事が求められる。 


 中級になると、識別番号は変わらないが役職名が与えられる。 『幹部』として、魔法少女達の目の前に立ち塞がる事ができるのも、この辺りからだ。 ……下積みの時代が長いので、魔法少女達の前に立ち塞がる幹部達が生き生きとしているのは……仕方のない事だ…………多分。


 上級役員になれば『星官せいかん』と呼ばれる役職名が与えられ、識別番号も数字と文字を組み合わせた複雑なものへと変化する。 ここまで来ると話の後半辺りから投入される上位幹部になれる――という訳ではない。


 戦闘員として魔法少女達に立ち塞がってキラキラを回収するノルマもあるが、何方かと言えば最上位幹部達の補佐として、や組織内での仕事の手伝いを担う事が多くなる。


 中級から上級の仕事の差で、組織に不服を申し立てる達もいるが、上のの仕事ぶりを見られる良い機会なのではないだろうか。 ここの辺りで最上位幹部たる人物か中身を見定められている……と聞いた事があるが、噂は定かではない。 因みに、ここで上手くいけば、上級役員でも最上位幹部のように担当の世界が持てることもない、との噂だ。 実例は見た事ないが。


 最上位幹部は、組織を大々的に動かす事が出来る役職で、担当場所のボス的立ち位置まとめ役の役を担う事が多い。 ……らしい。 最上位幹部に関して言えば情報が入らないので、噂話程度のことしか分からない。 仮面の形が特徴的で見分け易い、と聞くが、私は未だに組織内で見かけたことはない。



×



 ここまでの話で大方予想はついているだろうけど、私は5-Gk52。 上位役員であり役職名は『房宿そいぼし』。 未だに見た事のない最上位幹部達の補佐が私の仕事だ。


 ついでに言うと上位役員ここまでなっておいて、組織のことに関して噂程度のことしか知らないポンコツ具合の持ち主だ。 ……もうちょっと、組織について勉強しておこう。

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