陽炎
傍野路石
陽炎
夏というのは起承転結を知らぬ。朝から既にクライマックスである。
湿度を持った熱気が身体髪膚に絡み付く。
食欲は無い……が、野菜や果物は欲しくなる。
冷えた桃を口に放り込む。
そうして氷の融け切ったグラスの水を一息に飲み下し、畑へと
燦燦然たる熱線と耳慣れた蝉時雨が降り注ぐ。
青天井にモクモクと隆赫する入道雲……
そして其の
畝をほじくり返す。
汗……頭から輪郭を伝って滴り、鼻頭からは泉のように湧き、腕は水を浴びたかのごとくギラギラ光り、シャツはピッタリと背中にへばり付く。
ナンだか少しクラクラする。何か大事なモノが抜け落ちているような感覚……
気がつくと土の上に
ジワジワと蒸発するような意識の中、
ハハ……イヤ……デカすぎんだろ……
やがて思考は止まった。
そうして再び気がつくと、知らない天井……
陽炎 傍野路石 @bluefishjazz
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