第2話:砂漠の出会い

 砂嵐がやってきてどのくらいの時間が過ぎただろうか。どうやら私はアズールのお腹の下で眠っていたようだ。


 私は太陽の光で目を覚ます。


「うーー身体中が痛い」


「……旅の者!! いいかげん起き上がったらどうだ」

 

 体が痛くて固まっていると、何者かの声が聞こえた。

 

 起き上がると目の前でアズールが威嚇をしている。視線の先には、頭に変な帽子をかぶっている人が二人。よく見ると所々に金の紋章があるワンピースのような服を着ている。腰には剣を、なんとも風変わりな青年と、長身の男がいた。


 二人とも鼻から下を布で覆っているから目元しか見えないが、青年はブルーの綺麗な瞳をしている。


(この人たちは一体…………砂漠にいるなんて、やっぱり盗賊かしら?)


「アズール、ありがとう」


 優しく撫でるとアズールは私の近くに座った。


「お前、なぜこんなところで倒れている?」


 ブルーの綺麗な瞳をしている青年に聞かれた。


「私は各地で料理をしながら旅をしている者です。町に向かておりましたが、砂嵐に巻き込まれてしまい…………」


「ほう。お前は料理人か……」


 私の事をまじまじと見る青年。

(なによ、この人。そんなに見なくてもいいじゃない)


「お前、目的地への道はわかるのか?」


「わかりません……」


「では、私についてくるといい」


「嫌です!!」


 そんな私と彼のやり取りを長身の男は楽しそうに眺めていた。


「ついていきたくないだと?? なぜだ」


「砂漠で会う人にはろくな人は居ないから、むやみについて行ってはいけないと母に教えてもらったんです。それにあなた達のその格好、なんか胡散臭いんですよね…………」


 青年は驚き固まっている。長身の男は相変わらずクスクスと笑っているようだ。


「ほーほー、そうか。では精々生き延びてくれ」


 青年はそういい、ラクダにまたがると私たちの元を去る素振りを見せた。


「お二人ともお元気で。アズール、スパイス探そう、きっと近くにあるはずよ」


 私とアズールは足元の砂を掘りながらスパイスが入っている箱を探した。


「ったく……あいつは」


 ラクダにまたがった青年は砂を掘っている私達を眺めながら、大きなため息をつき私たちに近づいてきた。


「お前らちょっとそこの場所あけろ」


「はい?? 今忙しいので」


「いいからそこ避けろ」


 そこまで言うのなら、と思った私たちは少し離れ、長身の男の近くまで移動した。


「あの何が起こるんですか??」


「あなたたちの探し物は見つかるはずです。見ててください」

 

 長身の男は優しい声でそう言った。

 (そう言えばこの人も綺麗な目元だわ)


 青年は砂漠に手を当て、何かを呟くと地面の砂がどんどん掘られていく。青年は砂に触れているだけなのに…………そして、砂の奥深くから箱らしきものが出てきた。


「女、探していたものはこれか??」

 青年は箱についた砂を綺麗に落としながら私に渡してきた。


「スパイスだ!! 砂の下に埋まってしまっていたのね!! どうして分かったの………… ありがとう!!」


 私は嬉しくて青年に抱きついた。


 一瞬固まった青年。


「嬉しくて…………つい。失礼いたしました」

(あとは道具があれば料理ができるわね)



「お前名前は??」


「サリーと申します」


「サリーか。俺はカターシャ…………」

 

 そのあと彼は何か言っていたが、アズールの大きな欠伸の音で聞こえなかった。


 このまま砂漠にいても仕方ない。腹を括り私は彼らについていくことにした。

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