第29話 団結力

は~っ、なんとか無事合流出来たけど、ちょうどあねさんがイケメンと抱き合ってるところだった。

は~、声かけずらいわ。


「あれ?お邪魔だった?」


い、皆が、一斉におれをビックリした顔で見た。

ちょっと!お化けじゃないよ?!

あれ?そのイケメン、どっかで見たかな?


「これは、お初にお目にかかります。ベルン殿下の従者、アーノルドと申します。豊穣の乙女様」


ああ、痴漢天使ベルンに時々付いてた人か、直接挨拶を交わすのは初めてだな。


ざわっ「豊穣の乙女って?」、「どういう事?」、「誰?」


うわっ、なんか皆の注目浴びてますよ!?


「あ、い、いや、おれの二つ名がいくつかあって」


「もしかしたら、カイエンが連れて来たっていう私の代わりが貴女だったの?!」


メリダさんが睨むように、アーノルドさんとおれを交互に見ながら言った。

はい、嘘っぱち騙し男子にまんまと連れ出されたマヌケは、おれです。


「申し訳ありません。ガルガの使者が我が国に来た時に、メリダ様の現状が知れました。どうも、それを隠れてカイエン様が聞いていたらしく、勝手に乙女様を連れ出したのです」


あちゃー、アーノルドさん、言っちゃったよ。

嘘っぱち騙し男子、お前、帰ったらヤバイんじゃない。

え?メリダさんが座りこんで、おれに土下座してるよ?!

な、なにがあった?


「弟が貴女に酷い事をしたようで、本当に申し訳ありません」


うあ、片足が無いご婦人に無理な体制で土下座させちゃったよ、困ったな。


「どうか、お顔を上げて下さい。おれは特に何も思っていませんから」


「ですが、私の弟が貴女を私の代わりに、残虐なガルガ王に渡そうとした事実は消えません。弟に成り代わり、謝らせて下さい」


は~っ、頑固だな。

あまり、美人さんに謝らせたくないな。


「いいです。どうしてもなら、あとで嘘っぱち騙し男子から謝ってもらいます」


「嘘っぱち?」


「あーとっ、カイエン?」


「!わかりました。本人がなんと言おうと、必ずきっちり謝らせますわ!!」


ひ、あねさんの背中が燃えてる?!目の中にも炎が見える?ヤバイわ!


「とりあえず、ここを離れましょう。リンレイ、お願いね」


あねさんが、茶髪の可愛い系美人に言った。


「はい、メリダ様」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



◆ジーナス視点


「ラーン殿、間もなく城の船着き場に到着します。商船の手配がつかず、予定より遅れましたがこれで挽回できるでしょう」


「急ぎましょう!乙女が心配です」


「そうですね、おい!船頭、速度を上げてくれ」


船頭は頷いて、オールを漕ぐ男達に指示するが、すぐコチラに駆けてきた。


「ダンナ方、船着き場から船が出てきます。水路を譲らないといけねぇ、ちょっと船を止めますぜ」


「仕方ない、止めなさい」


ジーナスは、水路の通行ルールを知っているので無理強いは出来ない。

ラーンに説明し、停船に応じた。


暫く待っていると、船着き場から沢山の女性が乗り込む、華やかな船とすれちがう。

そこに、黒髪の女性がいる事にジーナスは気づいた。


「ラーン殿、勇者様が今の船に!」


「な?精霊どのが?!」


いけない、船が遠ざかる。


「船頭!船を回頭させよ、あの船を追うのだ!」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ふうっ、ようやく城から離れたな。

あとは皆さんには悪いけど、何処かで離脱させてもらおう。


「後ろから船が近づいて来てますね。追っ手でしょうか?」


アーノルドさんが後ろを見ながら、状況を説明してくる。

追っ手か、しつこいなガルガ!


「なんか追いかけてくる船から、大声で呼んでる声が聞こえるんですが?」


「なんて言ってる?」


「え?!ええと、勇者様とか、精霊どのとか?」


「…………アーノルドさん、それは地獄の亡者の声ですよ」


「え、あ、いや、たぶん乙女様の夫の「ああ!思い出した。あれは、ストーカーと強姦魔だ!また、おれを襲おうと追ってきたんだ。まーったく、しつこい奴らだ。ははは!」


「強姦魔ですって?!あの船に貴女を狙う強姦魔がいるの?」


え?メリダさんが凄い剣幕で、おれに聞いてくる!


「は、はい?!」


「まあ、なんてこと!みんな、聞いて!後ろから来る船に、この子を狙う強姦魔が居るらしいの!力を貸して!!」


「強姦魔?!」、「女の敵!!」、「許さん」


あ~ららら?!なんか、皆で団結力が生まれた感じ???!

なんか、アーノルドさんが心配顔で聞いてくる。


「乙女様、宜しいので?!」


「い、いや、宜しくないけど、もはや、撤回できる状況じゃないよ!」


皆、手にいろいろ得物を持って、戦闘準備開始中って?!!

メリダさんまで近くにある船の物資を、手に取った?!


「……………そうですね、成り行きに任せましょう?……はぁっ」


「何故に疑問系?しかも、その残念な人を見るような顔でため息?!!」


しょうがないじゃん!アイツらの名前、強姦魔とストーカーで固定してたから、そもそも名前、忘れたわ!


「勇者様ーっ!」、「精霊どのーっ!お待ち下さいーっ!」


強姦魔達の船が追いついて、横に並走状態になった!と、女性陣が立ち上がった?!


「強姦魔は去れーっ!」、「来るな、女の敵ーっ!」、「許すまじ、強姦魔!!」


うわわ、女性陣が一斉に辺りの物を向こうの船に投げだした?!向こうの船員が逃げ惑う?!


「勇者さ、が?ご、強姦魔?、一体どこに???!」


「精霊どの!お待ち、痛?!下さい!え、女の敵?!」


あーと、連中の船が後退したよ。

ま、いいか?

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