第79話 勇者との戦いですか?

 僕は『十本刃の花びら』を展開する。


 僕の両手と連動して、空中を飛ぶ刃達が勇者を襲う。


「なんの! これしき!」


 流石の勇者も凄まじい速さで十本の刃を全て撃ち落とした。


 しかし、撃ち落としても、僕の刃は動き続けるんだけどね!


 落ちたと思わせた刃を再度浮かせて、油断している勇者に放った。



「ふ~ん、貴様。雑魚の分際で良い技持ってるな」



 勇者はさも当たり前のように、聖剣に光をまとわせ、後方から向かってくる刃十本を全て消滅させた。


 後ろに目でも付いてんの!?


「では今度はこちらから行く、スキル! 勇者スラッシュ!!」


 スキル名に勇者が入ってる……。


 良かった……僕の能力が勇者じゃなくて……。


 勇者の剣から放たれた光の渦巻きが僕を飲み込もうとした。


「スキル、ゴミ召喚、ヴァレンシアの盾!」


 正面に大きな盾を召喚した。


 ドカーーン


 盾にぶつかった光の渦は大きな音を響かせ、次第に弱くなり消えた。


 この盾は、『ヴァレンシア』の余ったパーツをリサイクルして作った特殊盾だ。


 古代機械に使われている『オリハルコン』とかいう金属で出来ており、余程の攻撃じゃない限り、傷一つ付かられないとアイちゃんから教えて貰えた。


 しかも、僕の『ゴミのリサイクル』で新品同様な状態と、『ゴミ特殊召喚』のおかげで更に防御性能が高まってるみたい。


 流石の勇者も大きく驚いている。


 そりゃ……自信満々の勇者スラッシュを防いだからね。



「では、今度は僕から! スキル、ゴミ召喚! 地獄風呂!」


 今度は対人の絶対必殺技、地獄風呂を展開した。


 勇者の周辺に壁が出現する。


 その直後、壁の内部の例の液体が大量に注がれるのだ。



「ぐ、ぐああああ!!!」


 勇者の悲鳴が聞こえる。


「す、す、ぐああああ! スキル、ぐああああ!」


 やっぱり、大体の人はそうなるよね。


 悪臭の所為で集中も出来なければ、スキルを唱える事も出来なくなる。


 この地獄風呂の着想は、ヘルドさんが初めて攻めて来た時に、ヘルドさんの配下の兵士達を『城壁』で囲ってゴミを流した時の事から着想を得た。


 あんなに広くしないで、単体用に使えば便利なのではないか? と思ったから。


 案の定、僕が持っている必殺技の中でも対人に関しては、最強の技でもある。


 だって、多くの人がスキルが使えないと、大技が繰り出せないからね。


 その時、地獄風呂の中から眩しい光が溢れ出て、地獄風呂の壁が壊された。


 へぇ……流石勇者という所かな?


 急いで、壊れた地獄風呂と中身を回収する。



「ぐはっ……く、臭い…………た、助け……て…………ぐはっ」



 あ……勇者様があられもない姿になっているね。


 だけど、僕はもう貴方を許さないと決めているからね!


 手は抜かないよ?


「ではもう一回、地獄風呂を――「ま、待て!」、スキル! ゴミ召喚! 地獄風呂!」


 幾ら壊しても消滅しない限り、ゴミ収集から無限に使えるからね。


 勇者の悲痛な叫びがまた聞こえてくる。



 ――――またもや、勇者は地獄風呂を脱するも、回収した地獄風呂で三度目の地獄風呂をお見舞いしてあげると、勇者は「言う事なんでも聞くから助けてください」と降伏するのであった。

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