第53話 人類最強vs守護神ですか?

 高さは約三メートル。


 横幅も二メートルはあるゴーレム。


 現在、ヘルドと対峙しているゴーレムは、大型破壊兵器『ヴァレンシア』の守護神である。


 形だけなら、普通のゴーレムにも見えるそのゴーレムは、今まで、誰にもけた事がないと言われている。


 かく言うヘルドも数回、この『ヴァレンシア』を陥落させようとした際、二回戦い、勝てずにいた。


 しかし、ここにきて、勝機を掴んだヘルドの三度目の挑戦が始まる。




 最初に仕掛けたのは守護神だった。


 両目から魔法のような――――砲撃レーザーを繰り出す。


 その砲撃がどれほどの威力なのかを既に分かっているヘルドは真横に走り抜け避けた。


 ヘルドを追い、顔がぐるっと回りながら砲撃が追い、地面が熱せられグツグツと燃え上っている。


 守護神を百八十度回ったヘルドは、守護神の足を目掛けて斬り込む。


 凄まじい速度の剣戟が守護神の足を取らえ、斬り抜いた。


 右足を斬られた守護神だったが、倒れる事もなく、微動だにしない。


 更にその目はヘルドを捉えたままである。


 守護神の両腕が切り離された。


 なにやらワイヤーのようなモノで両腕と身体を繋いでいた。


 守護神の両腕は生きているかの如く、ヘルドを追いかける。


 ヘルドは足を切り落として、守護神から距離を取っており、迫ってくる両腕を切り払いながらまた左右に避けていた。


 その間に、切り落とされた足には、腕同様、身体からワイヤーが伸び、元の状態へと戻っていた。


 既にそうなるであろう事を知っていたヘルドは眉一つ動かさずに、淡々と守護神の両腕を捌いていた。




 数分間、攻防が続いたが、守護神の腕が変形し始めた。


 指の部分が全て上部に開き、指の中が見える状態となる。


 その指の中から回転槍ドリルが出て来た。


 両腕は今までとは違う動きになり、捕まえる動きから、真っすぐ貫く動きへと変わった。


 更に、その速度も段違いに速くなり、ヘルドに襲い掛かる。



「スキル、絶炎斬」



 ヘルドの剣に黒い炎が燃え上がる。


 迫って来た両腕にすれ違いざまに、腕を斬った。


 金属同士がぶつかる鈍い音と共に、守護神の両腕は黒い炎が燃え移り、両腕が段々と黒焦げとなり、消えていった。



 しかし。


 両腕が消えると、守護神の元の腕があった所には、体内から新たな両腕が出現する。



 守護神は何もなかったかのように、再度ヘルドに襲い掛かる。


 今度は、両腕、両足の四本がワイヤーに繋がれ、ヘルドを襲った。


 ヘルドの黒い炎で腕と足を燃やしてはいるが、消えた腕と足は再度体内から出現している。



 ――――無限再生。


 これが、守護神の厄介な原因の一つであった。



 ヘルドは少しずつ速度をあげ、両腕両足を同時に燃やした。


 一瞬、両腕両足がない瞬間が生まれる。


 その一瞬の刹那に、ヘルドが仕掛ける。


「スキル、縮地法」


 詠唱と共に、その場にいたヘルドが一瞬で消えた。


 そして、瞬きすら許さない速さの斬撃が守護神を襲った。


 その一閃は、守護神の首を刎ねたのだ。




「キケンドSトハンダン。コレヨリ、デストロイヤーモードニヘンコウシマス」




 首が飛んでいる守護神の内部から、無機質な声が響いた。


 ――そして。



 守護神のあらゆる穴からビームが発射される。



「スキル、獄炎龍砲!」



 ヘルドの剣から凄まじい爆炎が放たれた。

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