第38話 特殊ですか?

 - 能力『ゴミ箱』のレベルが上がりました。-


 - 能力『ゴミ箱』のレベル7により、スキル『ゴミ召喚』が特殊強化されました。-


〈ステータス〉――――――――


 能力 - ゴミ箱lv7


 体力 - B

 魔力 - B

 力 - B

 素早さ - A

 精神力 - S

 運 - SS


 [スキル]

 ゴミ収集(強化)

 クリーン

 ゴミ召喚(強化+特殊強化)

 ゴミ圧縮


―――――――――――――――



 これが今回、レベルアップの内訳だ。


 特殊強化って何だろうか?


「スキル! ゴミ召喚! 特殊強化!」


 ……


 …………


 ………………


 ああ、こういうの久しぶりだね。


「アレク…………」


「ま、待った! まずその拳は下ろそう!」


「……」


「今回は新しいスキルじゃなくて、召喚の特殊強化だよ!」


「特殊強化?」


 それからシグマくんとシェーンさんに説明も兼ねて、軽く説明した。


 ゴミ召喚の強化された時は、単純に距離が強化された。


 それはいわば、純粋な強化・・だ。



 では、今回は?


 特殊強化だ。


 強化は強化だけど、あくまで特殊・・だ。



「特殊……ね、通常強化では距離がそのまま伸びた……ということは、今回は距離じゃないんでしょうね」


「そうだと思うんだよね。だから特殊な召喚って何なのかな~って考えてたよ」


 僕達四人は皆、「う~ん」と悩んだ。


「特殊か~アレク兄ちゃんの能力はそもそも特殊だけどね」


「あはは、間違いない、僕の能力は特殊だよね」


 特殊過ぎる気もするけどね~。


「確かにアレク様の能力は特殊ですが……特別でもあると思うんです」


「「「特別?」」」


 シェーンさんの言葉に皆、首を傾げた。


「はい、ゴミと認識したモノ、ゴミであるモノ、全てを一瞬で、しかも制約もなく、異次元空間に収集する……それは、長年魔法に長けている者が多いダークエルフ族でも見た事も、聞いた事もない能力です。

 特殊だと言われれば、確かに特殊です。ですが、その能力は唯一無二の能力だと思うんです。アレク様の能力は――――特別な能力だと思うんです」


「特別……」


「アレクの能力が特別なのは私も思うわ、今までずっと隣で見て来たもの、『特殊強化』。確かに、言葉だけなら特殊と入っているけど、言い換えれば『特別な召喚』になっても不思議ではないわね。なにせ、アレクの能力が特別なんだから」


 ドヤっと自慢するかのように話すアイリスを、何処か愛おしく思えてしまった。


 特別か……。


 自分の事を特別・・だと思った事なんて、一度もなかった。


 屋敷に住んでいた頃も、ヴァレン町にいた頃も、今も。


 寧ろ、特別なのは、アイリスだと思っている。


 彼女の周りには、いつも明るくて楽しい。


 人は集まるし、こんな僕でもってくれたしね。



「特別な召喚なのよ、普通の召喚なら、ただ呼び出すだけ。特別なら?」


「なら?」


「例えば――――動かせるとか?」


 アイリスの言葉に、さっき召喚したただの小型石材ゴミを動かそうとしてみた。


 でも動かない。


「『特殊召喚』と唱えても、特殊な状態に入る訳ではない……?」


「特殊な状態?」


「はい、スキルの中には、例えばファイアアローとか、唱え方次第で、変化させられるモノもあるんです」



 あ!


 以前、屋敷で勉強していた頃、本で読んだことがある。


 ――例えば、「魔法、ファイアアロー、拡散」みたいな詠唱だと、ファイアアローが途中で小型に分散して散るとか……。


 確かに、言われてみれば、それも特殊・・だね。




 そして、僕は徐に手をかざした。


「スキル、ゴミ召喚、飛び上がる!」




 召喚した小型石材ゴミは、落下せずに上空に飛び上がった。

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