新人Webライターの奇妙な記事

迷子の鴉

201X年二月 金色のザリガニ発見!新種の生物発見か!?

 今月の取材は東京のある河川敷にて新種の生物と思われるザリガニを発見したことから始まった。タイトルの通り金ぴかのザリガニを発見したのだ。金ぴか。金メッキを掛けたものなのではない。文字通りの黄金の輝きをそれが放っていたのだ。

 いつものように記事のネタ探しをしていた私の目に飛び込んできたのは、河川敷の浅瀬にてエサを探すザリガニだった。最初はやけに綺羅やかなザリガニだと思って遠目で見ていたが、「いやあんなに眩しすぎるザリガニって普通におかしくね!?なんか凄い光ってるし!」ということで近くに寄って見てみたら金ぴかに光るザリガニを見つけたのだ。

 これは世紀の大発見だ!金色のザリガニなんて見たことも聞いたこともないものだったので私は一人構わず河川敷で大はしゃぎし、足を滑らせて川に落ちてずぶ濡れになった。ついでに手に取っていたザリガニはすっぽ抜けて行方不明になった。

 次の日、河川敷付近の住宅街で聞き込みを行うとすぐさま情報が飛び込んできた。すぐさま場所を聞いた上で赴くと即座に取材に応じてくれた。

 河川敷近くの民家に住むご老人が、もう一匹の金色のザリガニを飼育しているとのこと。その老人は御年67歳。たった一人で和風のお屋敷に住み続けること四十数年を過ごしたその方は、日課のランニングをしている最中にそのザリガニを見つけたという。

 ご老人は、「金色のザリガニなんて見たこともなかったからね。見ているうちに手放したくなくなったから、飼育の環境を整えて飼い始めたんだ」と朗らかに応じてくれた。そのご主人の手には見事に光る金色ザリガニ。

 ご老人は金色のザリガニの件はひっそりと報じるだけにしてくれとのことなのでここに載せるだけにとどめる。


*とはいえこのようなもの好きしか集まらない私のサイトでは噂の広がりもわずかだろうが

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