属性アリなヒロインはお好きですか?➡︎YESorNO

九十九 薛

第1話

平凡な高校生である戸神響也は登校して早々、学園長から呼び出しされ学園三大美少女の1人で男嫌いとしても知られるイギリス人と日本人のハーフである東崎・リリア・ハーズベルドの男嫌いを治して欲しいと頼まれてしまった。

理由を聞くと東崎の父親から頼み込まれて断りきれなかった学園長が引き受けてしまったらしい。

響也に頼んだのは学園長が響也の叔母に当たるからでもあった。

学園長に恩のある響也も結局引き受けた。

「なんで俺が、、、」

はぁと大きくため息をついていると東崎が目の前の席に座った。

「なに?」

「あ、いえ、なんでもないっす」

殺されるのではと思えるほどの目つきで東崎に睨みつけられた響也は少し怯む。

放課後になり帰る準備をしていると東崎に話しかけられた。

「ねぇ」

「ん?なんだ、東崎」

「えっと、と、と、、やっぱりなんでもない!」

頬を赤く染めた東崎は走り去っていった。

「お前も振られたのか?響也」

響也の腐れ縁である親友、古富雅也が笑う。

「振られてねぇよ。告白もしてねぇわ」

「ほんとかぁ〜?」

雅也が肘で小突いてくる。

「本当だ。そもそもまだクラスメイトの半数が残ってんのに告白出来ねぇよ」

「告白で思い出したけどよ。響也、また断ったんだろ?先輩からの告白」

「好いてくれることは嬉しいけどこっちが好きじゃないのに付き合うのは好いてくれてる相手に失礼ってもんだろ」

「お前ほんっと真面目だな。まぁそれがお前のいいところだしな」

「そういうお前はまた別れたんだろ?しかも二股がバレて」

「それほどでも〜」

照れくさそうに顔を隠す。

「いや、褒めてねぇよ。反省しろよ」

「みんな可愛いからさ」

「お前のそういうところまじで治せよ」

「俺はいつだって女の子に真剣だぜ?」

「そんなことは分かってんだよ。でもそれは長くいるから分かることで逆に言えば数日とかの関係だと気づかねぇだろ。あまり人の恋愛に口出しする気はないけどさ、お前の姉貴から頼まれてんだよ。お前の女たらしをどうにかしろってさ」

「あーあー聞こえないなー」

耳を塞ぎながら雅也は響也から逃げていった。

「響也くん、また古富くんの心配してるの?」

「おい、いきなり話しかけるな。ビビるわ」

響也の後ろから幼なじみの新島八都寧か話しかけ、それに対し響也がビビる。

「ごめんごめん」

「まじで死ぬかと思った」

「ほんと相変わらず響也くんは優しいね。古富くん、かなり女たらしなのに」

「確かにあいつは女たらしだけどそれ以上にあいつは人思いで絶対に裏切らない」

「それは響也くんも一緒だと思うよ?女たらしではないけどね」

「そりゃどうも」

「私もこれから帰るから久しぶりに一緒に帰ろ?」

「めちゃくちゃ話変えるじゃん」

「細かいことは気にしちゃモテないよ」

八都寧はリュックを背負うと先に教室から出ていった。

二人で帰り道を話しながら歩いていると橋の下で同じ学校の制服を着た女子がしゃがみこんでいるのが目に入り、気になって駆け寄る。

「なにしてんだ?」

すると突然立ち上がった女子の顔と衝突して額に強烈な痛みが走り抑える。

「響也くん、大丈夫?」

「あ、ああ、大丈夫だ」

「とが、み?、、うそっ!?」

顔を上げるとその女子は東崎だった。

「東崎?こんなところでどうしたんだ?」

「え、えっとそれは、、、」

東崎の足元に仔猫が擦り寄る。

「仔猫ちゃん?東崎さん、仔猫に餌でもあげてたの?」

「そ、それは、、、わ、悪い?」

「ううん、全然。いいと思うよ」

「なんでまた?捨て猫だろ?」

「だって可哀想じゃない。人間の都合だけで捨てられるなんて。私だったら嫌よ、親の都合で施設に預けられるとか」

同情したくなるような悲しい目を東崎はしていた。

その後事情を聞くとたまたまある日雨宿りをしているとダンボールから猫の鳴き声が聞こえて、それからは毎日家に入れれないため餌を与えていたらしい。

正直、響也は意外に思った。

想像していた彼女は冷酷で悪くいえば小さな命のためにそこまで出来るような人間とは思っていなかった。

しかし、この時の行動を見て自分はダメなやつだと再認識した。

それからは彼女に対して尊敬心を抱くようになった。

自分には決してできるような行動ではない。

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