第2話 幼なじみにはテンプレを。
その後、俺が
「どうしたんだ
明るめの髪にスラッとした長身が、いちいち劣等感を抱かせるイケメン。去年、今年とクラスメイトの
「ちょっと、寝坊してな」
朝の出来事は無かったことにしておく。
「ふーん」
「なんだよ」
「いや、けっこう普通の理由だったから」
「なに期待してんだよ」
「一年の時のクラスに入って行くとか?」
「んっ!?」
そう言った
……これ知られてるやつだ。
「おっ、おまえ何で知ってんだよ?」
「
「何で、すでに後輩のメール持ってんだよ!まだ、初日だぞ。
ってかそれ女子なのか、女子なんだな!
どうやって、メール交換したんだよ、教えろよ!いや教えて、教えてください!」
「普通に登校してたら、向こうから声掛けてきたんだよ」
「いやっ、いやいやいや!
それでメールの交換出来たら、俺にも一度くらい彼女できてもおかしくないよね!」
「噓じゃねえし。てか俺たちには嫁がいるんだから、今さら彼女なんて必要ないだろ」
さも当然のことのように
「お前が嫁とか言うと、
現に前の女子たちがちらちら、こっちを見ていた。見んなよ。
これだからイケメンオタクは。
「ん?
訳が分からない様子で、不思議そうに俺を見てくる、
「俺が話してるのは、リアル、現実の話なの!」
「俺もリアルの話してるけど?」
平然と
――え、俺が間違ってるのか?
「いやいや、お前の嫁は実在しないよな?」
「実在するけど」
「…………」
こいつ何言っちゃてんの。やべーよ、
俺は、清也に嫁がこの世界に存在しないことを説明していたが実を結ぶ前に中断させられた。始業式の始まる時間になったから。
俺が通っているのは、私立、カーニラ学園
藩校時代から城のお膝元に位置し、今でも内堀のすぐ横にある。登下校時はお堀の横を通るけど、それに感動するのはオープンキャンパスの時と入学初日ぐらいで、二年生にもなると友達とか参考書片手に登校するのが普通になっている。
学力もそれなりに高くて、県内の私立では一番、総合でも二番目に偏差値の高い進学校として知られている。
第二の創立者が宣教師だったこともあり、日常的にキリスト教の文化に触れることになる。朝礼や大事な行事の時は讃美歌を歌い、授業の終始には起立・礼ではなく黙とうをする。校歌だって英語版、日本語版が存在する。
だが、生徒の一割もキリスト教、信者ではないのが現実だったりもする。
~~閑話休題~~
始業式はいつもどうりに進んでいった。
校歌に続けて讃美歌の合唱。
学校長の長さだけが際立つ話。
春休み中にあった大会の表彰式。
生徒課からの身だしなみやスマホの使用に関する諸注意。
学校長の〝えー〟と発した回数が257回に達したのを含めて、全てが予定調和だった。
始業式が終わって教室に戻ると担任からのあいさつと課題提出が行われた。『明日の、春休み課題考査に向けてしっかり準備しとけよ〜』という担任のありがたーい言葉を最後にホームルームは終わった。
チャイムと同時にダッシュで帰宅する人、部活に重たい足を向ける人、生徒が三々五々教室から出ていく流れに乗って俺も教室を後にする。
向かった先は、1、2年の教室がある第二本館から程遠い和室。第二本館三階から二階に降りて、渡り廊下を渡り第一本館へ移動。そこから四階まで登って長い廊下の突き当りが、十畳の部屋が二部屋と物置き一つの和室になっている。
放課後にわざわざ和室に来たのは、部活に参加するためだ。
俺は将棋部に所属している。ちなみに
「あれ、もう来てたんだ」
和室の
名前は
「ねえ、
次の大会にあたしと
だが、俺は知っていた。
「は? 次の大会って、ゲームの?」
「それ以外に何があるのよ」
若干あきれたような表情で
そして、超が付くほどのゲーマーということも。
「ちなみにいつ?」
「来週の土曜」
「残り十日しかないじゃんか……」
「仕方ないでしょ!
一緒に出る予定だった子が突然、唐突に音信不通になったんだから!」
「またかよ……」
突然、唐突とか言っているが実際は、そうでもなかったんだろう。
そして一番悪いのは、そのことを
『言葉を使わなくったって立ち回りから判断しなさいよ。ゲームがすべて語ってるのに、気づかないとかゲーマー失格よね』
逆切れしていることだった。
「……出てくれるわよね?」
俺が何も発しないことに心配になったのか上目遣いで聞いてくる。
強情な態度から時々
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