夏合宿に起きた不思議な数日
スイートピー
第1話
「夏休み、折角ですし皆で夏合宿とかしてみませんか?」
後輩の
「ちょ、先輩。大丈夫ですか?」
「うぅ…こんなにかかるなんて、思わないじゃない…」
「
「ん? あー…はい、先輩。今更ですけど…あげます」
「パーキングエリアに一回行った後、また1時間くらい車だし飲んどけ」
空気が読めるムードメーカーの
落ち着いた雰囲気の
発端は先程の後輩の一言。それから海や山等候補が上がっていた時。
「キャンプ地のある山で、行方不明になる人がでたらしいわ」
顧問には事後報告にしており、危ないと思いつつ初の合宿にドキドキしていた。
「はぁ…やっとパーキングエリアなのね…」
「どうする? 歩けるか?」 「ええ…」
「私トイレ行く」
「ついでに昼食も買っていくか」 「そだね」
「えっ、先輩!お土産屋さんありますよ!」
「まずは食料な」
「……」
食料を買う頃には皆お土産屋の事は忘れてたらしく、途中で彼等と別れて向かう。
見れば色んな種類があったが、”安全祈願”らしい小さい石のお守りを買って戻る。車に既に乗りこんでた彼等に袋から取り出して渡した。まぁ
キャンプ地にはコテージ?があって、そこで過ごすらしい。
「しかし…1個しかないのに取れたって事は、ほんとに貸し切り状態なんだね」
「まぁいいじゃん、自由に行動できるんだ!」
「目的考えたらいいよね」
「
「…っなんで…2人は無事なのよ…」
「さあ…?」
男子達は相変わらず暴走する
「そうだ。2人組になって近く探索するか?」
「危険じゃない?」
「いっすねそれ! 俺
「
「もちろん!」 「私
「お、頼む。じゃあ…30分くらい探索するか」
「…
「好奇心はありますけど…離れて先輩に何かあったら危険じゃないですか」
「…まぁ、行方不明者が事故とは限らないものね」
正直、
うわあああああ!!
「「!」」 「い、今の…」 「
「…
「
「確かめてから…。先輩よりは体力あるんで」
「…わかった」
突然の叫び声。正直自分は性別くらいで誰の声かわからなかったが、先輩はわかったらしく緊張した空気が漂った。
声の方向はわかったため先輩にそういって向かう。
獣道は私より身長の高い2人が通ったからか、所々小枝が折れてたり地面に靴の跡が残ってて。靴の形なんぞ知らんが恐らくあってるだろうと歩いて行った。
すると、突如視界が開け、目の前に石でできた階段が。
「これ…あぁ…」
使われなくなった神社。事前に調べた時に美琴が言ってた場所。本当にあったのか。蝉の音が聞こえなくなり、少し気になって階段を上っていく。
「誰かっ…! 誰か!! 何でこんなことっ…!!」 「! …えっ、」
「まてー!!お前らーー!!」 「っく…」 「部長…!」
後輩君の声。足音をなるべく消して上がると、衝撃的な光景が見えた。
赤黒い血が服についてる人が、剪定鋏を持って
「っ、
「ちょっ…
部長の声にハッとしたときには遅く、その男がこちらを向く。目には闇が広がり、口はおぞましい程に歪んで笑ってるように見えた。顔や衣類につく血が、異様さを更に際立たせる。が、目があったと思えば俺の方に来て。
怖い。と思ったが、後輩君の叫びで必死さが伝わり、笑って背を向けて走った。
何もわからないけど、アレが行方不明の原因なら前からいるから相手の方が有利。
「っ…っは、はぁっ、はあ、っ!? っえ…」 「こっち、」
やっぱり運動部でもないからかすぐに疲れてしまって。どうしよう、と思いながら走っていると誰かに手を掴まれる。もうそんな近づいてたのか、と振り払おうとしたが、そこにいたのは知らない男性。目もちゃんとあって、別の方向に引っ張られる。
「君っ、何でこんな所に…いや、今は逃げたほうがいいか、」
「ちょ…はや、ッは、」
時々服が小枝に引っかかるが、気にせず走る彼に憑いていくので必死だった。
彼が立ち止まった時には後ろからあの声は聞こえなくて、生きを整える。
「急に引っ張ってごめんね、怪我は…なさそうだね、よかった」「…あなた、は?」
「あぁ…僕は、仲間の連れ添いでここに遊びに来た1人だよ」
息を整えながら聞けば、どこか悲しそうな顔で彼はそういった。
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