第19話 亀戸へのお出迎え
「20分で準備、大丈夫?」
「いつものスーツ姿に速攻お化粧するのだけだから、大丈夫よ」
たしかに、社会人スーツの時のわたし達は、いつも薄化粧だった。勤め先の社名が四葉蛋白質工業へと変わり広報部署に異動となった後はに、明日は念入りに身を整えておくようにといった指示が出た際には、少し念入りにお化粧するようになったわけだけれども、それは
(せっかく
ユウと別れた後、三十路間近の週末引きこもりデビューして鑑賞した昼ドラの中から、それらしいシーンが浮かんでくる。
時は大正ロマン主義時代。御曹司に見初められた平民の娘。お母様へのお目通りが叶う前の最初の関門は、御曹司の御宅に住み込む側仕えたち・・・わたしの三十路脳に、御曹司(二階堂先輩)と平民の娘(
身をすくめた
(・・・2年間の週末昼ドラ鑑賞生活で、わたしの昼ドラ脳は随分と育っていたようね)
らしいセーラー服へと着替え終えたわたしは、苦笑いする。
先に速攻お化粧を終えた
英国製の高級自動運転車だった。クラシックな見てくれとは異なり、自動運転機能はレベル5と最高値。お値段は載ってないけど、間違いなくお高いはず。
インターフォンが鳴った。
「
こうして、わたし達の今日の昼ドラが始まった。
着替えを終えた
チャッ、と
「では、参ります」というお声と共に、すう~っと走り出したお出迎えカーが、信号で初めて止まった時、
「このハンドルは飾りのようなものですから、何か本日の件で確認しておきたたことが、ございましたら何なりとご質問ください」
とにこやかに言ってくれた。
何しろ、チャリちゃんで先輩の研究室を再訪のはずが、黒塗りの車でのお出迎えされるという展開になってしまっているのだ。わたし達は、ありがたく
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