夏が燻る

おくとりょう

しろ

「…うるさぁーい!」


 薄暗い空の下。

 ジジジジジっと鳴り響く音に耳をふさいだ。


「アキー!そろそろ起きなよー!」


 まだまだ寝ていたい。

 そろそろ起きなきゃいけないのだけれど…。最近、起きるのが遅くなっているような気がする。年齢のせいだろうか…。

 いや、人類が発展したせいだと思う。科学技術の向上が僕に心地のよい眠りを提供しているのだ!

 だって、最近は雨のあとも蒸し暑くて、かなわない。そりゃ、誰だって冷房に頼ってしまう。

 おかげで僕はのんびりできる。


 …あぁ。気の早い虫たちの声が聴こえる。

 でも、もう少しだけ。あと、ちょっとだけ…。


 嵐の後には起きるから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る