第12話 被害妄想
結構前店長が1日不機嫌な時があった。
だが、その理由を知るのは少しあと。
ついに店長の異動が決まった。2年間この店舗に立て直しとして来ていたが、ある程度の水準に達し、幅広い業務のできる人間が増えたので新店に行くことになった。
そして店長から最後に衝撃のエピソードを教えてもらった。
先にも話した通り店長が不機嫌な日があった。
その日、店長はいつも通り夕礼をする。
その時水虫薬の正しいつけかたのレクチャーをしたらしい。
そしてその夕礼の後、これまたいつも通り大坪が店長のもとへやって来た。
「店長、どうして私の水虫薬のつけかた知ってるんですか??」
「は?」
第一声から頭おかしいことが分かるだろうか?
「店長私がつけるところ見てるんですか??」
「何を言ってるの?」
「最近私盗撮されてるみたいなんですよね。店長盗撮してますか?」
「はぁ?してる訳ないでしょ。水虫薬のつけかたなんて正しいつけかたしてたらみんな一緒でしょ?」
「…じゃあ私の部屋盗撮した画像みんなで見て笑ってるんじゃないですか?店長じゃなかったらバイトさんとか」
(誰がお前みたいなブス盗撮するかッ!)
と店長は心の中で思った。
そもそも何故こんなことを唐突に言い出したかと言うと――。
あるテレビ番組で盗聴やら盗撮やらの企画をやっていたらしく、スマホのアプリで盗聴・盗撮されているか分かるアプリが紹介されたらしく、実際やってみた所反応があったから店長もしくはスタッフなのでは、と思ったということらしかった。
名誉毀損もいいところだ。
「じゃあ休みあげるから業者でも呼んで調べてもらったら良いよ」
と言ったところ、実際に呼んで調査したらしい。
結果―――――。
そんな反応も出ることなく、そして大坪は店長に悪びれることなく
「なかったみたいですー」
と言っただけだった。
開いた口が塞がらない……。
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