底辺の頂点

みや

序章 怪獣爆誕

 話は2年前から始まる。

 あるドラッグストアで佐伯が働き出す数年前から【ソレ】は居た。


 2年前。【大坪】と言うその人物は共に働いている他のスタッフと問題を起こし、【店舗N】へと移動して来た。

 本人は「いじめられた」としているが、話を聞く限りとてもそうではなく、業務内容等を注意されたことに対してそう言っていたらしい。


 なんにしても店舗Nに移動してきて早々、幾多もの問題を起こす。


 大坪が店舗Nに異動してからほどなくして、新しい店長が異動してきた。

 

 この会社では仕事の分担や時間ごとにやる仕事を最小で15分単位、基本は1時間単位でワークスケジュールを組んでいる。

 

2人が顔を合わせた最初の日、店長は大坪に【トイレ掃除】の仕事を30分入れていた。

 当然それが仕事なのだからやるべきなのだが大坪は。


 「店長、なんで私がトイレ掃除なんですか?」

 「え?なんで?」

 「トイレ掃除って下っ端の仕事ですよね?」

 「は?」

 「下っ端の仕事ならバイトの子にやらせたらいいじゃないですか」

 「いやいや、バイトの子達には他の仕事ふってるから」

 「でもトイレ掃除は下っ端の仕事ですよね」

 「そんな決まりはないよ」

 「私はやりたくないです」

 「やりたくないじゃないでしょ。仕事なんだから」

 「他の子にやらせて下さい」

 「やりたくないならやらなくていいよ、でもそしたら会社辞めてもらうよ?」

 「…………」

 「会社の仕事がしたくないんだったらしょうがないよね」

 「……………やります……」


 これはその後数え切れないほどのバトルの序章に過ぎなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る