第13話 侵攻を阻止せよ

 ララとオートロックが話し込んでいる最中に、サザエ養殖施設の建物がガタガタと揺れた。


「ゾウタコが来ましたね。ララ隊長。排除をお願いします」

「わかった」


 ララ達はサザエ養殖場施設の屋上へと上がる。このサザエ養殖場は、国立競技場を優に超える大きさがあった。しかも、付近には同じ構造の建物が幾つも建てられていた。


「この養殖場が5番です。向こうから1番~4番となっております。1番がサザエとアワビの養殖場。2番がワカメや昆布などの海藻類とウニの養殖場。3番がマグロとマフグの養殖場。4番が大ダコと大王イカの養殖場となっております。ここはサザエ養殖場としては二番目ですね。ほら、1番養殖場は既に破壊され、そこをうろついている大型の兵器が、先ほど申し上げたゾウタコでございます」

「アレは兵器なのか?」

「身長は15メートル程度。現状、15体ほど確認しております。怪獣のような印象ですが正体は不明。私たちの感覚では生物兵器ですが、さて、本当に生物なのかどうかは判断できません」

「なるほど……」


 ララはオートロックの言葉に頷きつつ腕組みをしている。そしておもむろに口を開いた。


「ソフィアはハイペリオンへ戻れ。そして、ハイペリオンは超重戦車形態へと変形し、この養殖場の防衛に当たれ。重力子砲は最小効果出力にて射撃せよ。ヘリオスはハイペリオンの防御を受け持て」

「了解しました。ララ様はどうされますか?」

「私は長門へ戻って作戦の練り直しだ。場合によっては、長門の全能力を開放するかもしれん」

「ほう……アレを披露されると?」

「かもしれんと言っただけだ。そこまで手間がかからなければその方が良い」

「そうですわね」

「では長門へ行く。オートロック、貴様もついて来い」

「わかったよ」


 この、5つの養殖場がある異次元空間は、見た目が、極めてだだっ広い地下空間といった風であった。ララ達が侵入してきた黒い渦、異次元ゲートはサザエ養殖場の天井につながっていた。ララはオートロックの首根っこをひっ捕まえて黒い渦に放り込み、自らもその中へと飛び込んだ。そして二人は見島駐屯地に躍り出た。


「ララ隊長。貴方って人は何て強引で乱暴なんですか。死ぬかと思った」

「気にするな。まだ沖にいる長門まで飛ばねばならん」

「え?」


 ララの強引なやり口に閉口していたオートロックだが、彼は再び体を硬直させた。ララは再びオートロックの首根っこをひっ捕まえ、長門へ向けて放り投げた。


「あれええええ!」


 あられもない叫び声を上げ、そしてバラの花びらを振りまきながら、オートロックは見島上空をすっ飛んだ。そしてララもそれに続き、ジャンプした。

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