第11話 魔王城陥落


魔王城では宴が開かれていた。


「スゴイ、凄すぎる」

「これが勇者様の力か」


「四砦をまさか数日で落とすとは」

「四聖獣将軍は全員倒されたって言うぜ」


「勇者!」

「勇者!」


勇者コ-ルをする魔族たちである。



「わははっははは。

 好きなだけ食べてくれ、勇者」


魔王キスキル・リラはご機嫌。

食事を勧めて来る。


しかし。

召喚の巫女は食事を見て引いている。

なんだかウネウネ動く蟲。

小さいカエルの物っぽい卵。

紫色したキノコらしい物。

神殿で粗食に耐えて来た彼女だが。

無理なモノはムリ!


食べれそうなのは果物くらい。

林檎に柑橘類、バナナ風の果実。

これはマトモそう。

巫女のお姉さんは果実を食べる。


るるる子ちゃんはお姉さんをマネしながら、他に食べれそうなのは・・・と探す。

あった。

アレはトリ肉かな。

大きいお肉の塊。

何の肉か良く分からないけど。

焼いてあるのだ。

大丈夫だろう。


ガブリと噛みつく。

ンマイ。

中まで火が通ってるのにやたらジューシー。

るるる子ちゃんはガツガツと食べる。


「キスキル・リラ様、あのお肉って?」


巫女のお姉さんは慎重。

確認してからじゃないと食べられない。


「アレか、アレはヤマタのオロチの丸焼きだな。

 酒を呑み過ぎて死んだのを焼いたんだ。

 全身に酒が回ってるから、旨いぞ。

 一口食っただけでも酔っぱらうから、

 食いすぎるなよ」


勇者様はガツガツ食べているのだ。


「勇者様!

 それ以上食べては・・・」


「ヒック、うん?

 お姉さんナーニ、ンック」


既に顔が真っ赤になってるるるる子ちゃん。

分かり易く酔ってる。


宴の会場真ん中へフラフラと歩き出す。


「るるる子さん、駄目です」


巫女姉さんも付いて行く。


「ううー、身体が熱ーい」



「勇者様!」

「勇者様!」


会場の中心へ歩いてくるるる子ちゃんへ魔族の視線が集まる。


るるる子ちゃんは体が熱いとしどけない恰好。

制服の胸元を開けてパタパタ。

スカートのすそを広げて空気を送り込む。


ちょっとセクシー姿。


どうよ。

と周りの男魔族を見回す。


アレ、誰もるるる子ちゃんを見ていない。


「どうした、勇者。

 酔っぱらったのか」

「勇者様、

 しっかりしてください」


男どもが見てるのはキスキル・リラと召喚の巫女のお姉さん。


「キスキル・リラ様。

 いつ見ても妖艶だ」

「あの人間の巫女、良いよな。

 清楚で美しいぜ」


ムカッ。

そう言えば。

るるる子ちゃんには怒ってた理由があったのだ。

男なんて。

全部男が悪い!

お怒りを思い出してしまったるるる子ちゃん。


はあっ。

酔っぱらったまま怒りゲージマックス。


会場の地面に腕を叩きつける。



とりぷるげいざー!!!



その日、魔族の象徴。

魔王の棲む城が跡形も無く崩れたと言う。


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