第7話 王の肖像画
魔王城の大広間。
多数の魔族が集まって宴が繰り広げられてる。
上手にはるるる子ちゃんと魔王キスキル・リラ。
召喚の巫女と副将アブーも居る。
魔族と人間はあの境界近辺でずっと争いを繰り広げているらしい。
「すでに何百年と争っているのだ」
「えー、バカバカしいじゃん。
止めようよ」
「そうなのです。我らもそう思いました」
副将アブーが説明してくれる。
魔族と人間、無駄な争いを止める。
お互いの代表者が対話を重ねた。
結果不戦協定を結ぶ事になった。
「その証として、私と人間族の王が結婚する事になったのだ」
「結婚?!
キスキル・リラとあのオッサン王が?」
「ちょうど我らの魔王様は独身。
人間の王も正式な妃はいないという事でしたので。
話はトントン拍子で進んだのですが。
お二人の初顔合わせの席で問題が発生しまして」
「勇者、見てくれ。
この肖像画を」
「おお、アダルトなイケメン」
「ダンディーな方です」
るるる子ちゃんと巫女は思わず喝采。
魔王が見せて来る画はリアルタッチの人間の顔。
黒い髪、高い鼻筋、色気の漂う男。
肩幅は広く紳士服を着こなすアダルティーなイケメン。
こちらを流し目で見ている、口元には軽い笑み、白い歯が覗く。
口ひげを生やしてるのもダンディー。
うん、これ誰?
「これが私が渡されていた人間の王の肖像画だ」
「ええええええええええ?」
「ええええええええええ!」
るるる子ちゃんの前に現れた王様は眼つきが悪い男。
服だけは金が掛っていそう。
悪趣味なギラギラ飾り、デップリした腹。
思い出すだけで腹が立ってくるオッサン。
この絵の洒落っ気の有るダンディーと似た部分が全く無い。
「ひどいだろう。
サギだろ、コレ」
「まー、キスキル・リラ様は婚約が決まってから、
この絵を眺めて毎日ニマニマしてましたからね。
肖像画をベッドにまで持ち込んでましたもんね」
「うるさい。
黙れ、アブー」
「ちなみにこれが魔王様が人間に渡したご自身の肖像画です」
るるる子ちゃんと召喚の巫女は覗き込む。
そこに書かれていたのは。
赤毛の髪と丸顔。
パチクリと開かれた目はあどけない。
ちょっと幼げな守ってあげたくなるような表情。
ピンクの口元から少し八重歯が覗くのもアクセント。
胸元が少し開いたドレス。
あからさまに胸がデカイ。
「可愛い事は可愛いけど・・・
趣味悪くない、ロリ巨乳ってヤツ?」
「うーん。
これはでも男の方は喜びそうですわ」
るるる子ちゃんと巫女さんは若干引いてる。
「違う、これは絵師の奴がだな。
少しアレンジした方が男性が喜びます。
とそう言うから仕方なく・・・」
「まあ、この肖像画を送ってから、
人間の王との結婚の話も非常にスムーズに運びましたな。
人間の王も毎日のように手紙を魔王に送って来ましたし」
「うむ、今となってはムカツクだけだが、
情熱的なラブレターだった。
『其方は天使じゃ、ワシだけのオモチャにしてやる』とかだな。
『其方は可愛い、ペロペロしちゃいたい』とかだな。
『其方の胸をチュウチュウ出来る日を待っているぞ』とか」
「・・・アレ。
情熱的と言うか、変態的だな。
思い返すと大分気持ち悪いぞ」
「魔王様。
手紙と肖像画を見ながら毎日ときめいてましたよね。
我ら配下の者達は『文面、オカシクないか』と思ってましたが」
「というかあからさまに気持ち悪いよ。
よくそんな文章にトキメけたね」
るるる子ちゃんはさすがに呆れ気味。
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