第5話 飛び立つ勇者

「勇者の技が効いている内にトドメを刺すのだ」


王様の命令に現れる、衛兵たち。

今まで何処に隠れてたのか。

兵士達の後ろでは召喚の巫女が心配そうに見ている。


屈強な兵士達がるるる子ちゃんとグリフォンを囲む。

お腹を見せてたグリフォンは警戒姿勢。


「グルルルル」


上体を持ち上げ唸り声を上げる。


トドメ?

誰が誰に?

もしかしてこの仔に。


るるる子ちゃんがグリフォンを見る。

獅子の胴体、鷲の翼を持つ巨獣。

するとグリフォンは猫の様に甘える仕草。

るるる子ちゃんに顔を擦り付け鳴いて見せる。


「みゃーお」


オマエ、グリフォンじゃなかったか。

魔王キスキル・リラは心の中でそんなツッコミ。


「こんなカワイイ仔をイジメようなんて。

 ふざけんな!」


るるる子ちゃんはパワーゲージオン。



はおーしょうこうけん!!



るるる子ちゃんの腕から飛び出るエネルギー波。

吹っ飛ばされる衛兵たち。


「勇者、何をする!」


慌てる王様。


「そこの女の人、行こっ。

 コイツラ五月蝿くてヤダ」


るるる子ちゃんはえいっとグリフォンの背に跨る。

跨ったまま、胴を足で締める。

グリフォンが翼をはためかせる。

宙を舞い旋回するグリフォン。


貴族たちはズザザっと逃げ、衛兵たちは腰を抜かす。


召喚の巫女が見える。

金髪の美人さん。

るるる子ちゃんを心配そうに見てる。

ついで。

召喚の巫女も抱いて、グリフォンの背に乗せる。

グリフォンは飛び立った。

宙空へと。


「待て待て、どうするんだ?」


魔王キスキル・リラは大慌て。


「アナタも早く行くよっ」


「そ、そうなのか。

 いや何故ワタシが勇者の言う事を聞かねばならんのだ」


しかし周り中の魔族が飛び立つ。

飛べないモノは翼有る者の背に。

全員引き上げようとしている。


「あれー、何で何で」


仕方なく一緒に行動する魔王キスキル・リラ。

巨大な鳥、ロック鳥の背に飛び乗る。


「アナタたちの家はどっちなの?」


魔王の副将、アブーが答える。

狐の様な頭部の獣人だ。



「はっ、勇者殿。

 左の方角に有る森を越えた場所でございます」


るるる子ちゃんが見ると巨大な森が続いている。

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