第2話 え、ちょっと待って!?

「さーて、今日も頑張りますかぁ」

 私はベッドから這い出て、戦闘服、もといメイド服に着替える。

 このメイド服も最初は丈が短くて嫌だったけどもう何も感じなくなってしまった。

 いやー慣れって恐ろしいね……。

 その後、この屋敷のもう一人の従業員、執事のセバスチャンと朝のミーティングを済ませて、あのバカを起こしに行く。


「≪目覚まし≫」


 私は≪目覚まし≫を使う。

 これは私のスキル≪生活魔法≫の権能の一種で、対象の目を覚まさせるというだけの能力。

 多少は目覚めがよくなる程度の効果。

 まぁ、朝起きるのには便利なんだけどね。


「ほーら、起きてフォイル」


「おはよう、リーン。目覚めのハグをしても?」


「試しにしてみたら?セクハラで訴えて晒し者にしてあげるから」


「あ、あの、それはやめてもらえると助かるというか……」


「……冗談よ冗談。ほら、目が覚めたでしょ?」

 割とマジだったけどねー、と心の中で呟いておく。

「いや、あれは本気の目を……。う、うんお陰でぱっちりだよ」


「下で朝ごはん作るからさっさと着替えて降りてきなよ」


「了解です」


 そのまま私は部屋を出る。

 部屋を出るとき

「主人とメイドの力関係おかしくない?」

って聞こえた気がしたけど気のせいだよね?

 だって私はデキるメイドだから主人に失礼な態度取ったりしないからね。

 え?敬語?シリマセンヨソンナノ……。



 それから私はサクッと三人分の朝食を作ります。

 もちろんこれにもスキルを使う。


 一つ目、≪料理≫。

 このスキルを使いながら料理すると、美味しく調理出来たり、料理器具の扱いに補正がかかる。

 二つ目、≪飲料水≫。

 美味しい水を作り出せる。

 三つ目、≪包丁≫。

 マイ包丁が異空間より出てくる。

 四つ目、≪冷蔵庫≫・≪冷凍庫≫。

 食品を冷蔵、冷出来る異空間が出てくる。これは割と便利。


 私はこれらのスキルを使っていつも料理をする。

 だってこの屋敷、料理人いませんもん。

 それにしても、一つのスキルにこれだけの権能が詰まってるってほんとに≪生活魔法≫凄いよね。まぁ、全部生活に特化した権能なんだけどね。


 さて、今日の朝食のメニューはどうしよっかな~。

 よし、決めた。

 今日の朝食は、ベーコンエッグトースト。これに決定!

 それプラス、サラダとコーヒーでいいでしょう!


 え?簡単?手抜き?しばくぞ。

 これくらいならスキル使わなくても美味しく出来るでしょと思ったそこのあなた!

 そう思うやん?

 でもな、それがちゃうねん。

 スキルの熟練度がめっちゃ高いから普通に作るよりもな美味しく作れんねん。

 これホンマやで、マジで。


 そして朝食が終わるとバカは仕事に行くので一応見送ってあげます。

 正直何の仕事してるか知らないけど。

 その後はひたすら屋敷の掃除。

 三人には無駄に広い屋敷の掃除。

 まず、食器を片付け、洗う。

 それが終わると部屋や廊下、窓の掃除。


 私の場合それに合わせて庭の手入れもします。

 この屋敷に庭師がいないので。


 色々仕事をこなしているとバカが帰ってくるのでまた夕飯を作り、身の回りの世話をしてあげます。

 そしてようやく自由に過ごせるのは夜の11時半頃。

 お風呂に入るなど就寝前のルーティンを終わらせると1時近くになるのでそこから寝ます。

 これが私の一日。



「はぁ……今日も疲れた。目覚ましセットして寝るかぁ」

「≪目覚まし≫セット。時刻、6時」

「おやすみ、私……」



 ピピピ……ピピピ……。

 ≪目覚まし≫の音で目が覚める

 時刻はきっかり6時。

 着替えて、セバスチャンとのミーティング。

 バカを起こして朝食。

 見送って掃除。

 ……………………。

 毎日この繰り返し。

 まぁ、3年もしてたら慣れるけどね。



 ある日、私がいつものように掃除をしていると、

『スキル≪掃除≫の熟練度が限界値に達しました。』

と、<世界の声>が聞こえた。


「あ、≪掃除≫も熟練度最大まで行ったんだ~」

「これで≪生活魔法≫の全スキル熟練度最大か~」


 先週あたりからほかのスキルもポンポン最大になってたからあとは≪掃除≫だけなんだよねって思ってたところなんだよね。


『それに伴って、』


 ん?まだ何かあるのかな?


『スキル≪生活魔法≫が進化します。』


 え、ちょっと待って!?

 マジですか!?

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