常夏の吸血鬼

第4話 レポート3日目

　キャプテンブルースの天国の海に行った。いつの間にか対象がネットでツアーの予約をしていたみたいだ。港で集合して、船に乗って移動。透き通るエメラルドグリーンの海、白い砂浜。思わず写真を撮ってしまった。

移動中、他の乗客はカメラで撮ったり、おしゃべりしたり、気の毒だが船酔いしてる者もいる。対象はアジア系の男性と話していた。正体を知らないから、普通に話しかけられるのだと推測する。

主に日中が活動時間だ。それに吸血衝動が見られない。特殊な吸血鬼である事を改めて分かる。普通に水着持って行って、楽しんでいる辺り、人間と大差がない。

周辺で人生初めて潜った。カラフルな魚がたくさん泳いでいて、ウミガメも見られた。対象は砂浜でブラブラしていた。流石に現地民だからか、楽しんでいるものの、新鮮というわけではないと。

仕事で来たはずだが、ガッツリ楽しんでいる。少し申し訳なくなる。

ツアーの後、食料品を買って、戻って来た。店員と顔見知りで立ち話したり、果物の試食をしたり、何年もハワイに住んでいる事が分かる。問題はいつから来てるのか。吸血鬼は人間より長く生きる。そしてルーマニアの名前だ。年齢にもよるが、移民の子孫の可能性も十分にある。

短期の雇われの身だ。知る必要なんて無い。