藍鉄色に交われば
ごぼうのobjet
第1話浮かぶ。漂う。
ボォー
大きな大きな汽笛が瀬戸内の空に鳴り響き、新たな船の誕生を告げる。今日は「命名受渡式」。造船所が最も華やぐ1日。1年近くの月日を要して完成した船の竣工を祝い、船主や造船所従業員、関係者たちが集い歓びの声を挙げる。この晴れの日の手伝いに勤しむのは、美幸(みゆき)造船総務課の仕事である。司会進行や来客の案内など、多岐に渡る仕事をこなす。式中、船の名付け親となる方へ会社を代表して花束を渡すのは水野翠(みどり)の務めだった。端正な顔立ちの彼女がにこやかに花束を贈呈する様はとても様になる。明るい雰囲気に包まれた式は和やかに進み、出航する船を見送る時刻となった。再び大きな汽笛が音を立て、船は岸壁から離岸した。その様子を翠はじっと眺めた。
「どうしてあんな鉄の塊が浮いてるんだろ?」
という疑問を抱きながら。
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