第6話 崩落



 時間が経つに比例して、重症患者が運び出されてくるのが多くなった。


 しかし中には、移動させられないほど、酷いけがをしている者達もいるとか。


 そういった人に対応するため、私達は鉱山都市の危険な坑道の中へ入っていく事になった。


 地面にはところどころ血の跡があって、なまなましい。


 やがて、坑道の奥で運びだせないほどの重症患者に出会った。


 私はさっそく手当てを行う。


 しかし、数分した後で「後は私達にまかせてもらうぞ」という声。


 気が付くと、元の上司がやってきていた。


「私達が先にこの現場にいたのだ。だから私達が責任をもって最後までやるのが道理だろう」


 そんな話は聞いていない。


 疲れてもいないのに、手当てを途中で代えるなんて、意味が分からない。


 彼らはただ手柄がほしかっただけなのだろう。


 最後まで自分が面倒を見る、と言ったら「生意気な! 誰のおかげでトップになれたと思っているのだ」と肩を掴んで無理やりその場から引き離された。


 私がそれに抗議しようとすると、坑道の中を振動が満たした。


 ややあって、上から大小さまざまな岩が落ちてきた。


「ひぃっ。死にたくない!」


 元上司たちは血相を変えてその場から逃げ出した。


 だが、けが人がいる事でためらってしまった私は、崩落に巻き込まれて、坑道の中に閉じ込められてしまった。


 一応降り積もったものをどかそうとしたが、多くの岩が通路をふさいでいるため、早々にあきらめざるをえなかった。


 私はやむなく重症患者の手当てを再開。


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