第4話 恩人だから
皆のために尽くす、実力の高い聖女。
という地位は、あっという間に失ってしまった。
しばらく途方にくれていたのだが、そんな私に話しかけてくれる人がいた。
それは、事故が起きた列車に乗っていた男性だった。
名前はファルコンという。
列車の走行試験を行うなら、実際に人がのってみなければならない。
という事で、国は多くの人間をつのっていた。
彼もその中の一人だったらしい。
言われてみると、手当の際に顔を見たような気がした。
彼はずっと私にお礼を言いたかったらしい。
「君のおかげで助かったよ、ありがとう」
そして、何か力になれる事はないかと聞いてきた。
本来なら、人助けで何かを願う事はしない。
もらうものがあるなら、それは給料くらいだった。
けれど、その時は本当にこまっていた。
なので、つい自分の境遇を話してしまった。
すると、ファルコンは憤慨して、自分の国に来ると言いと声をかけてくれた。
聖女を集めて、仕事を行う組織は他国にもある。
だから、そこまで案内すると申し出たのだ。
これからの事で途方にくれていた私は、ファルコンの申し出をありがたく思った。
「ありがとう。実際とても困っていたの。本当に甘えてもいいかしら」
「ああ、もちろんだ」
そういわけで、私は他国の聖女教会に向かう事になった。
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