第10話 同じく二十八日目



 同じく二十八日目。


 ふぅ、さすがに人生史上初のピンチだった。


 怪しげな連中に攫われてびびった。


 けど、何とかなった。


 助かったようだ。


 警察が優秀でよかった。


 あと、ポチコウの鼻も。


 婚約者?


 まあ、頑張ったんじゃないかな。


 良かった、みたいな顔で抱きしめてきたから、ちょっと焦ったけど。


 悪かったとか、本当は好きだった、とかそんな涙声交じりに言われてもよく聞こえないっての。


 あたしだから分かるんだからね。


 これに懲りたら、もうちょっと素直になりなよ。


 まったく。


 でも怪文書の出所があいつじゃなくてよかった。


 犯人も捕まったし、一件落着だよね。


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