First Long

第1話 願わくば

ずっと見かけ倒しの女だとレッテルを張られて来た。

外見と中身の違いを知ると男はすぐに私から離れて行った。

こんな私が幸せになれる日が果たして来るのかどうか、それは神のみぞ知る──？

昔から結婚願望が強かった。いいな、好きだなと思った男子には積極的に声を掛けて来たし付き合って来た。

だけどその気持ちが持続することはなかった。派手な見た目で男性遍歴だけは一人前に多かったけれど──それだけだった。

本当の意味で結婚したいと思った相手には出逢えなかったし、恵まれなかった。

その時感じた好きって感情は一体何なんだろうと思い悩む。でもとりあえずは付き合ってみることから始まるんだよね、恋愛って奴は。

だから私は機会（チャンス）があれば男を漁って付き合って、その中で一番長く付き合えた人と結婚する。

願わくばその相手が将来有望なデキる男であれば尚いいのだけれど───。

「え、結婚するの？！」

「本当に？！」

「うん…」

「「おめでとう、郁美（いくみ）！！」」

「ありがとう、エリちゃん、美佳（みか）さん」

とある昼休憩の社食で友だちの郁美が交際一年目を前に結婚報告をした。

「まさか郁美に先を越されるとはなぁ～びっくりだよ」

「美佳さんはどうなの？」

「ん？」

「結婚。付き合っているんだよね、三好さんと」

「あー……まぁね」

「美佳は当分無理かもね」

「は？何を根拠にそんなことを言うかな、エリ子は」

「だって美佳、三好さんの話をする時大抵愚痴じゃない」

「愚痴じゃないよ、状況報告！」

「デートする度にあれが嫌だった、これが気に食わなかったって。訊かされる方の身にもなってよ」

「……」

「でも…お付き合い、続いているよね？私にはお似合いだなって見えるのに」

「…郁美、何か訊いている？」

「何を？」

「真戸さん経由で三好さんから私のことを」

「あ…ごめんね、光輔さんそういうの話さない人で」

「だよね、イメージ通り」

友だちの幸せ報告に水を差すのもなんだかなぁと思い私の話はそこまでにしてそれからは郁美の結婚話で盛り上がり休憩時間を終えた。