家族(カレカノ)

朧月夜

第1話 親の再婚はなんか複雑で

父「父さん再婚することにした」

唐突に父が切り出す。我が家は父子家庭。母は俺が幼い頃に亡くなったらしい。元々病弱だったらしいが詳細は教えてくれない。まぁ、聞く気もないが

アオ「そっか...え?まじ?相手はどんな人?」

父「それはな...」

すかさず惚気が始まった。まぁ、しょうがない。恋人がいる気持ちは分かる。一応俺にもいるし...

父「話は変わるが、土曜...明後日か、顔合わせがあるんだが、来てくれるか?」

アオ「いや、行くよ。父さんの再婚相手も見てみたいし」

父「そういえばアオと同い年の子供がいるって言ってたな。お前が兄か弟になるのか...」

アオ「まじかよ...」

兄弟か...あまりいいイメージが無さすぎる。兄が出来たら色々やらされるんだろうか?毎日喧嘩三昧?...やだ、絶対やだ...

アオ「そ、そうか...う、ウレシイナー」

父「嬉しそうで何よりだ!」

父は少々馬鹿である。(ブーメラン)

アオ「ほんと鈍感...」

父「?てかそれは男子が言うセリフかよ」

アオ「まぁ、俺から言えることはひとつだな...」

真面目な俺の様子を見て父さんも真面目に話を聞く気になってくれたようだ

アオ「母さんと重ねるなんて馬鹿な真似はすんなよ、まじで」

父「そこは大丈夫だ母さんとは逆のタイプだからな」

アオ「まあ、そこまで言うなら大丈夫か」

父「いきなりで悪かったな。もう遅いし寝なさい。」

時計に目をやるともうすぐ日付けが変わる頃だ

アオ「やべっ!もうこんな時間?!おやすみ!」

父「おやすみ...あれ?連れ子さんが女の人って言ったっけ?あと"あれ"も言ったっけな?ま、いっか!」


翌日、駅前


アオ「ごめん明音、お待たせ」

明「いや、そんなに待ってないよ」

俺の彼女は明音(あかね)。図書委員がきっかけで仲良くなって以来連絡を取り続け今に至る

明「行こっか」

アオ「そうだな」

いつもは登校時は互いに愚痴り合いである。愚痴をこぼし相手の愚痴を聞く。ただ、今日はあの話をすることにした

アオ「父さん、再婚するんだって」

明「へぇ~どんな人?」

アオ「優しくて、ちょっと抜けてる人って言ってたかな」

明「ふーん...そういえば、お母さんも再婚相手見つかったって言ってた」

アオ「すごい偶然だな。どんな人か聞いてる?」

明「確か、優しいし頼りになるけど、ちょっとおバカで鈍感って言ってたっけ」

アオ「それ言っていいやつ?」

明「ダメかもw」

アオ、明「「あははっ」」

明音も片親、母子家庭である。詳細は互いに聞かない。タブーとなっていた。

アオ「そういえば明日顔合わせだ...同い年のきょうだいができるかも...兄が出来たら...ガクブル」

明「初対面でそれは無いでしょ...そういえば私はいつ顔合わせか聞いてないな...」

アオ「それはきついな」

明「心の準備が、ね」

2人とも陰キャ気味なんだよなぁ...

アオ「ま、お互い頑張ろ」

明「そうね」

その日は変わらず過ごしたがこの後大事件があるなんて考えもしないだろう。


土曜日、ファミレス


アオ「なんでここ?」

父「家に4人は狭くないか?」

アオ「確かに...」


数分後


???「お久しぶり!あ、初めまして。明美(あけみ)と申します。義理とはいえ母親ですからそんなに距離置かないで貰えると嬉しいです」

父さんに駆け足気味によってきて挨拶し、俺に気づいて丁寧な自己紹介。

アオ「初めまして。アオと言います。よろしくお願いします」

母「''あか...''娘はもうすぐ来るはずですので...」

娘さん!?てっきり男かと...ってことは姉か妹ってこと?てか、今あかって言った?まぁ、さすがにないよな

明「...え?」

アオ「...(おい嘘だろ!)」

お互いひきっった笑みを浮かべている

父「もしかして、同じクラス?」

アオ「う、うん。そうなんだ(大嘘)」

明「図書委員で一緒に仕事してました(去年の話)」

母「あらそうなのね~。すぐに仲良くなれそうでよかったわ~」

ちょっと、いや、ものすごく反応に困る。

明「ちょっとアオ君!しってたの?!」ヒソヒソ

アオ「知ってたらこんな変なリアクションしねぇわ!」ヒソヒソ

明「私たちのことバレたら気まずくならないかしら」ヒソヒソ

アオ「たしかにそれは辛いな、しょうがない。しばらくは隠しておこう」ヒソヒソ

明「了解」ヒソヒソ

父「早速打ち解けてるみたいで良かったなぁ」

母「そうね...ところで、新居の話だけd」

アオ「ちょっと待って!なんだそれは!」

父「話すの忘れてたけど同居することにしたんだ、それと、新しい部屋を''もう買ってある''んだ。」

ちょっと待てよ、聞いてないぞそれ

父「忘れてた。ごめんな」

アオ「それはもういいよ。決まってるならしゃーないから」

明「あんたのそういうとこは羨ましいわ...」

アオ「そりゃどーも」


1週間後、新居


父「おし、着いたぞ」

アオ「ここかぁ、広いなぁ」

父「父さんたちが先か...先に荷解きしてるか」

\ピンポーン/

父「悪ぃ、出てくれるか?」

アオ「りょーかい」

「宅配でーす」

アオ「え?ああ、少々お待ち下さい」

届いたのはやけに軽いダンボール箱。なかみは...木製の、板?

\ピンポーン/

父「今度こそ明美さん達だな。アオ、頼む」

アオ「おっけ」

明『どうもー、いきなりで悪いけど開けてくれる?』

アオ「ちょっとまってて」

明音が入ってくる。やべぇ変な汗かいてきた

明「お久しぶりです。お義父さん」

父「おう、お久しぶり。で、明美さんは?」

明「荷物が多くて、車で来るそうです」

父「そうか、ありがとな」

明「いえいえ」

2人は上手くいってそうだな

明「アオくん、ちょ~っとこっち来てくれるかな?」ニコッ

アオ「は、はい。(なんか怖ぇ...)」


別室


明「一緒に住む上で確認したいことがいくつかあるの」

アオ「なるほど。それで、確認したいことって?」

明「部屋が一緒か別か」

アオ「確かにそれは気になる」

明「その反応だと知らなそうね」

アオ「残念だけど知らない。で、他は?まだあるんだろ?」

明「''どっちが兄姉か''よ!」

アオ「!!!」

明「誕生日っていつだっけ?確か12月の...」

アオ「8日だよ。そっちは確か10月10日だよね」

明「そ。当たりよ。てことはやっぱり私が姉?」

アオ「そうなるな...呼び方変える?」

明「何で?」

アオ「父さんたちには隠すんだろ?ボロ出したくないから呼び方変えて区別しようと思ったんだけど」

明「あんた...天才?」

アオ「いや、思ったことを直ぐに言うだけ」

明「...」(¬_¬)

アオ「やめてそんな目で見ないで...」

明「呼び方かぁ...呼び捨てにしてみようかな」

アオ「そっか、それじゃあ俺は『お姉ちゃん』って呼んでみようかな」

明「...へ?」

アオ「変な声出してどうした?『お姉ちゃん』」

明「わああ!やめてそれ!///」

アオ「なんか恥ずかしくなってきた...」

明「じゃあやめなよ」

アオ「やだ。」

俺は座り直し、明音に向き直った

アオ「よろしくな!『姉ちゃん』」ニカッ

明「よ、よろしくね、ぁ、アオ...///」

アオ「なんか顔赤いぞ?熱?」

明「大丈夫だから!」

アオ「そっか、お大事に」

明「アオくんのばか...///」

アオ「...?(なんかしたか?俺)」

父『おーい!用事済んだかー?こっち手伝ってくれ』

アオ「わかったー!じゃ、行こっか姉ちゃん」

明「ほんとにそれで呼ぶのね...」



アオ「そういえばこのやけに軽い箱なんなの?」

母「それはね...じゃーん!」

取り出されなのは木製のネームプレートみたいなやつ。ドアにかけるあれ。

母「トイレとか風呂場とかでばったりなんて流石に嫌でしょ?」

3人「「「あぁ、なるほど。頭いいなぁ」」」

母「そ、そうかしら?ありがとう(もう似てきた!?早くない!?)」


荷解き終了


明「終わったぁ!」

母「思ったよりあったわね」

父「家電は買い足すしかないか」

引越しの時に古い家電は重いし、この際買い換えた方がいいと言われた結果、冷蔵庫と炊飯器と洗濯機、掃除機ぐらいしか家電がない。だからみんな大好きレンチンだってできない

アオ「ご近所に挨拶行ってくるけどついでに買うものある?」

父「んー、ないな」

母「えーっと...私も一緒に出るわ。色々買わないとだし」

明「私は特にないかな」

アオ「じゃ、父さん、姉ちゃん留守番頼む」

父、母((あれ?今''姉ちゃん''って言った?))

明「うん、アオ、お母さん、気をつけてね」

母「行ってくるわね」

アオ「行ってきます」

このあとご近所さんがクラスメイトばかりと知って頭を抱えたことは言うまでもないだろう

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