8月6日

 今日も天気がいいので、リビングのカーテンを洗った。洗濯機から出したら濡れたままレールに戻し窓を開けて風を通す。そのまま乾かせば手間もはぶけるし換気も兼ねられて、一石二鳥なのだ。

 真夏とはいえ、リビングを通り抜ける風は心地いい。揺れるカーテンを横目にハンモックで読書をする。なんてことない、いつもの休日の朝。

 そうして何度かページを捲った時、どこか違和感を覚えて顔を上げた。なにもいない。なんだろう? しばらく目を凝らしていると、リビングに風が吹き込んだ。はためくカーテンの隙間からいくつもの足が並んでいる。それらは布か持ち上がると見えるらしい。顔は見えなくて、白い布地と床の隙間から裸足の足だけが見える。傷だらけの、爛れたような足ばかり。

 私は立ち上がりガラスのコップに氷と水を入れた。窓の前まで進んで床に置く。ことり、と小さな音がした。と、同時に風が吹いて蝉の鳴き声が部屋になだれ込んでくる。気温が高いからか、コップがどんどん汗をかいていく。

 目を閉じて手を合わせた。氷が身じろぎして、それは祈りの音に似ていた。

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