第5話
「……お、邪魔します…」
「お、マリおかえりだにー!」
愛しのマイスイートハニー、多仲陽葵(タナカヒマリ)の可憐なお姿が目の前に。天使様が降臨なされたのかな?
今日もとっても麗しゅう御座いますね。ほら、鳥たちも祝福してくれているよ。
……なぁあああんでえぇぇなぁぁあああんだあぁぁよおぉぉぉぉぉぉ!!!!
なんで彼女が魔法少女なの!?ああ!本名はダメだからヒマリ→マリってことね!気付かない僕が馬鹿だ!!
昨日居なくなったけど巻き込まれてなさそうだったから安心したーと思ったら巻き込まれに行く方だったのね!!
何回か青髪魔法少女を見て違和感を感じたのはそういう事か!!そりゃ変身した魔法少女だもの!!
バレないように多少なりとも姿形は変えるよね!!青髪の知り合いは居ないけど薄茶なら居るよここに!!!
ちゃんと考えれば分かりそうな事なのに何で気が付かなかったんだぁぁぁぁあああ!!!
見たことある人…位なら逃げるなり何なりで多少罪悪感は感じても契約解除に向けて頑張れるよ??
でもさ、多仲さん見捨ててとか出来る訳無いじゃん!!協力を求められなくても協力せざるを得ないよ!!
逆にもしここで協力を拒んでみろ!学校で目があった時とかに哀れみの目で見られる位ならまだいいよ!
蔑んだ目で見られてたりしたらもう二度と立ち直れないよ!!舌打ちなんかされた日には秒で死を選ぶわ!!
そっち(ドM)のトビラは蝶番が壊れてんだ開かないよ!!
とりあえず僕の負け戦は不戦敗で終わったようだ…。
鋼の意志?そこら辺に捨てて来た!欲しければくれてやるよオラァン!
この段階で魔法少女継続は確定している。
好きな人が魔法少女としてこの街を守ってるのに悠々自適に恋を語る男なんて居ない。
好きな人を戦いから遠ざける、それが出来無いにしても好きな人を協力し助ける。
それはもし性別が逆でも同じだろう。恋の病とはそういう物だ。
「……は、はじめましてマリさん。『私』は『今日から』魔法少女になったレンです。
お、お怪我から回復して良かったですね!
私も心配してました…そして魔法具借りちゃってすみません」
「??……あなたが!!…‥助けて下さり本当に有難うございました!
私はマリ、多仲陽葵(タナカヒマリ)と申します!
あの時はもうダメかと思っておりました…」
「……だけど私が気絶したすぐ後にレンさんが現れて、
あのケルベロス型2種を一撃で倒した、とミュルからお聞き致しました。
そのお姿ぜひ拝見したかったです。とてもお強いんですね……
それに凄く可憐で……」
「い、いえ、そんな偶々です。マリさんの魔法具があったおかげで私も助かりました。
それにまだ魔法少女になって半年で、
あれだけ沢山の強化魔法を使ってるマリさんの方が凄いですよ…」
ミュルがなんかとんでもない物を見た顔でこっちを見ている。なんだ悪いか?
僕はもう魔法少女を続ける気になっている。だって多仲さんを手伝って守らないといけないし。
だけどそこで一つ疑問が湧いた。
今の僕は赤髪魔法少女だ。さっきの多仲さんの言葉にあるように、
多仲さんの足元にも及ばないがある程度可憐、美少女の形をしている。
その赤髪魔法少女の中に僕、いや男が居る事がもし分かった時、変身を解いた時、彼女はどんな反応をするんだろう。
嫌そうな顔をするが普通に対応してくれるか?
それか正直に嫌悪感を出し距離を取るだろうか?
流石に殺意は出さないとは思うけど……普通に気持ち悪いだろうこれは。
要するに嫌われるのがイヤなんだ。だから他人のフリをする。
私?魔法少女レン!これからもよろしくねっ☆ ……うへぇ。
いやー証拠隠滅しといてよかったぁああああ!バレたらホント秒で死だよ!僕の!!
「……こんな大変可愛い子が……レントさんの魔法少女の姿なんですね…」
「…………は??」
え?なに?どういう事?なんで??
普通にバレとるやないかい!!え?これ死?死ぬの僕?
………ミュルの仕業だな。このクソへちゃむくれがぁぁぁぁ!!!!
僕は全身全霊の殺意を込めて忌々しいあのクソへちゃむくれ野郎を睨む。
ミュルはそれをめっちゃドヤ顔で返す。過去最高と言われた昨日を超えるウザさが出てる。
もうそろそろブサカワじゃなくてただのブサイクになるから早急に止めて欲しい。
…いや、もうコイツの事はいい!それより多仲さんだ!
既に賽は投げられている。後は生か死かだ。人生14年もう少し長く生きていたかったよ…。
「ご、ごめんなさい!……もしかして間違ってましたでしょうか??」
「……い、いや間違ってないです。ごめんなさい。そう、僕は鷹田蓮斗(タカダレント)です。
他人のフリで騙すような事をしてごめん。多分気持ち悪いよねこういうの。
………ホントごめん」
「……はい…」
はい……かぁ。
そりゃそうだよなぁぁあ!!気持ち悪いよなぁあああ!!僕の人生終わりました!!終わり!閉廷!
はぁ、これは距離取られるコースかな?蔑んだ目で見られるのはヤダなぁ…。
多仲さんが魔法少女を辞める時までコッソリ助けるのは続けたい。
続けたいけど、多仲さんに嫌われながらはキッツいものがある。
そのうち蝶番が直ってトビラ開いちゃうのかしら。その前に死にそうだけど。
「………他人のフリで騙すのはホントに酷いです。
私、信用されてないのかと思ってしまいました」
「……え??」
「そしてごめんなさい…。
そのままウソに乗る事も出来たのですが、わざとお名前を出させて頂きました」
「わざと??え?」
「レントさんがどの様な目標、目的でこんな事をしたのかは分かりませんが、
いずれひっそりと別の地域へ移動する予定なのかなと…。
だって、信用してないと言う事は私と協力したくないと言う事ですよね?」
「…私はこの街に生まれ育って大きくなりました。
この街が好き。この街を守る事が私の目標です。
しかし、私にはこの街を守る力が足りません。ですがレントさんの力があれば守れる」
「私はその強い力を持つレントさんの信用を得て、この街に留まって欲しいと考えました。
だけどその間にレントさんが何処かに行ってしまっては困ります。
だから『私はあなたを知ってるんだぞ』と脅して留まらせる卑怯な事をしてしまいました。
本当はレントさんの気持ちを尊重しそのまま知らないフリをするべきでしたのに。
申し訳ありません…」
「……」
「……だけど私の思い違いのようですね。…良かったです。
レントさんはいつも目立たない様にしていますが、とても優しい人でしたね。
困っている人が居たら何時も直接じゃなくコッソリ目立たない様に手助けしてますよね。
もしかしたら……私の事もコッソリ手助けして下さる予定だったのでしょうか?」
多仲さんが両腕を握って力説したと思ったら項垂れながら悲しそうな顔をし、
最後は僕の顔を見ながら希望に溢れる目で話かけた。
この間たった数分程。
その中でこれほど様々な多仲さんを見れると思わなかった僕は多幸感に満ちあふれていた。
多仲さんをこんなに間近で見れて最高だぁ…。
…あれ?そいえばこれ、距離取られるコースじゃない?死ななくていいやつ?
そして僕の名前だけじゃなくてクラスメイトだってことまで覚えていてくれてる?これは夢か?
ちなみに手助けは勘違いだと思う。友達が困ってたら出来る範囲で手伝うがそれは持ちつ持たれつだ。
多仲さんに対してはそりゃ好きな人と接点が出来る事は嬉しいから率先して手伝う。
だけど彼女の周りにはそういう輩が多いのでその輩が気付かず僕だけが気がついた時にソッと手伝うのみだった。
あ、いや、この勘違いで意外にも良い方向に認識されているなら万々歳だ!今日は宴だ酒持ってこい!
まぁそれは置いておくとして、街を守ることが目標とかホント多仲さんいい子だなぁー!!
お父さーん!お母さーん!見て、ここに天使様が降臨しているよ!
後光も見える気がする!実は神様じゃったか…拝んどこ。
「こっちこそ本当にごめん。そう、多仲さんをコッソリ手伝う予定だったん……」
「マリ、落ち着くに!レンはただ中身バレしてキミに嫌われるのが怖いだけだに!
それに魔法少女も今日中に辞めるつもりだったに!」
「………え、えっ!?れ、レントさん、どういう事でしょうか!?」
こんのど畜生がぁぁぁああああ!!
バラすんじゃないよ!!いい感じに勘違いしてるのをそのままに進むのがベストでしょうに!
いや、だけど多仲さんがここまで考えて喋ってくれたんだ。
僕も嫌われてない事は分かったしちゃんとホントの事を言う必要があるんだろうな。
……うん、そうしよう。
「……ミュルの話は本当だよ。
中身バレを防ぐために騙したのは信用してないからじゃなく僕の心が弱いから。
知り合いにこの姿が僕だとバレた時、気持ち悪がって嫌われるのが怖かったんだ。
今のこの姿はある程度可憐だけど中の僕はアレだしさ…」
「…そうだったんですね。本当に私の勘違いで良かったです…。
いえ、レントさんにとっては深刻なことでしたね…ごめんなさい」
「…正直未だに目の前の可愛い子がレントさんだと納得しきれません…。
ただ、驚きはしますがとても気持ち悪いなんて思えません。思えるはずがありません。
姿形は変わっても私の命を助けてくれたその優しさ、強さ。それは中のレントさんが持つものですし。
それに私が言うのは烏滸がましいかもですが、普段のレントさんの容姿が悪いという事は無いです!
普段のレントさんも可愛らし…いえ男性に可愛いは失礼ですよね…ごめんなさい…」
僕はいつの間にか、本当に無意識に小さな声で「ありがとう」と呟いていた。
やばい、泣きそう。よかったよぉおお!気持ち悪がられてなかったぁぁぁああ!!
可愛い…多分これはあれだ。多仲さんなりの優しさで『容姿はアレだけどまぁ気持ち悪いほどではないよ』って意味だ。
こういう気遣いができるの凄いなぁ。ほら、見て、ウチの天使様!大変可愛らしゅう御座いますでしょう?そうでしょう?
昨日魔獣に襲われた時からツイてないとか厄年かな?とか言ってたけど、全てはここに繋がるための布石だったのか!
神様からのサプライズがデカ過ぎて僕の小さな心臓じゃ耐えきれないって!とりあえずもう一度噛み締めとこ。
だけどその高低差が激しすぎるジェットコースターはいつか死人でるから次はやめてね。神様。
っと、大事な話はまだ終わってなかったんだった。
「…そして変身解除したらこのまま今日辞める予定だったのも本当。
確かに僕はこの街を守る魔法少女が多仲さんと知らない時は辞めるつもりだった」
「けど知り合いが多仲さんが街を守るために頑張ってるのに、
守る力があるかも知れない僕が見て見ぬ振りなんてしたら罪悪感でつぶれちゃうよ。
そして、その多仲さんが僕に留まって欲しいと思ってくれてる。
ここで逃げるなんて選択肢は僕には存在しないよ」
「……と、と言うことは!?」
「そう、だから多仲さん……僕にも街を守るため手伝いをさせて下さい!」
「…は、はい!ぜひよろしくお願い致します!一緒に頑張りましょう!」
多仲さんの満面の笑み。
うおっ!眩しっ!浄化されて消えてしまうからちょっと光量落として!
僕は握手をするために手を出した。自然な動作で手に触れられると考えたからだ。
多仲さんも僕の手に気が付いたのか自身の手を…手を……なんで両手?
そしてその手は僕の手をすり抜けて………僕の体を抱きしめた!?
なんで!?!?多仲さんやわこいに…いやそこを意識すんな!冷静になれ僕!!
「……今まで一人で心細かったんです。死にそうになる事も多いですし…。
だけどようやく仲間が出来ました!大変心強いです…本当によかった……」
なるほど…よかった、多仲さんを安心させられたようだ。
これから頑張って強くなって多仲さんを守り続けるぞ!!
そしていずれもっと仲良くなって……むふふ…。
頑張れ僕!目指せカップル成立!遂に来たチャンスをモノにするぞ!!
赤髪魔法少女よすまん!君を犠牲に僕は自分の恋を成立させるのだ!礎になってくれ!!
ああ可愛いっ!安心しきった表情の多仲さん可愛い!!いい匂いする!いやそれはやめろ変態か!
あれ?その顔から涙が。…天使様ってすげぇんだな。宝石まで作り出せるんだ。
「…………うぅ……グスッ…」
いつの間にか安心しきって泣き始めてた多仲さん。
肩が濡れて冷たいけど我慢だ。落ち着くまでこのままにしとこう。
握手出来ずに手持ち無沙汰になった手を頭に載せて撫でる。
変身前だったら絶対駄目だろうけど今の姿なら…まぁ大丈夫でしょ。よしよし。
暫くして落ち着いた多仲さんが離れた。ちょっと恥ずかしそうにしてるの可愛いな?
僕の服を見てみるとかなりびちゃびちゃになってた。これ家宝にしていい?ダメ?
そして彼女はその宝石のような輝きを持つ両の目を開き、じーっと僕を見つめる。
その目に映る赤髪魔法少女もなんか恥ずかしそうな顔をしている。実際恥ずかしい。
「……本当に凄い綺麗です。思わず見惚れてしまう程…。
あ、あの……お顔、触らせて頂いても良いですか?」
「え、あ、はい…どうぞ」
彼女の透き通る程白く美しい手が僕の頬に触れる。
これはいけない。もし元の僕が目の前に居る彼女に同じ様にされたら下半身がヤバイ事になる。
「…私の命の恩人がこんな可愛い人なんて。
あ、いえ、実際はレントさんなのは分かってます。
……それでも、とても嬉しいです。
そんな可愛らしくも強いあなたと一緒に街を守れるなんて」
うひぃ。…嬉しいけどホント、ホント偶然なんで。自分が助かりたかった一心だったんで。
そこまで恩を感じられるとその…罪悪感がヒシヒシとですね。あと顔近すぎませんかね。
泣いた後の潤んだ瞳、恥ずかしさから頬は薄っすらと朱に染まる。それ男が勘違いして秒で堕ちるやつよ??
ダメだってホント!僕のレント山が大噴火しちゃうって!ば く は つ す るーー!
僕の心の中のレント山が大噴火し、辺りに火山灰を撒き散らしはじめたその時。
「レン!魔法具届いたにー!制作チームが夜通し頑張ってくれたから後でお礼するに!
………なにやってるに??」
「…あっ、いえなんでもないです」
そういえばいつの間にか居なくなってたミュルが魔力検査システムのある部屋から出て来た。
多仲さんの手が離れ、その身もササっと離れてく。両手を胸元で重ね少し俯いてる。かわ…かわ…。
僕は何とか致命傷で助かったようだ。レント山の麓にある街は既に火山灰で埋め尽くされていた。
「とりあえず早速この魔法具を嵌めてみるに!ほら!はよ!」
なんかおざなりに投げつけられた。やめろ、それ僕の生命線やぞ?………なんだこれ?
昨日の両端に宝石をあしらったバトンのような物とは異なるそれ。鈍い金属の…ブレスレットかなこれ?
それは中心にラインがありそこから仄かに赤い光を発していた。なんとなくシンプルでオシャレだ。
いや、あのバトンを常時持ってるとか女子ならともかく思春期男子中学生にとっては苦痛だし大変助かる。
僕が怪訝そうにブレスレット眺めていると、気がついたのか多仲さんがこちらを見て口を開く。
「あ、魔法具は常時あの姿じゃないんです。…ほら私はネックレスですがこんな感じです。
触れて念ずる事であの形になるんですよ。変身や解除はどちらの形でも可能ですね」
そういって彼女は夏服の胸元をちらり少しだけ開いた。見え…見え…ん"ん"っ!
…ネックレスを見せてくれた。僕のブレスレットと比べ細身のそれは同じく青い光を薄っすらと発している。
ねぇーミュルぅー?僕もそっちが良かったなぁぁぁぁ?今からでも変えられないかなぁぁあ?
「…え?レンは今はソレだけど元は男だし、
どちらかと言うとカッコイイそっちが良いかと思ったに。
制作チームも初めての男物って事で凄く張り切ってたし、もっと喜んであげるに!!」
僕の抗議の目に気付いたミュルがブレスレットになった理由を教えてくれた。
うん、確かにそう言われるとそうだなぁ。ヒーロー物でも見たことある気がする。
ブレスレットを付け、カッコ良く腕を上げて『変身!』とかする感じ。
もうそういう歳じゃないかもしれないけど…イイな。魔法具制作チームありがとう。
「あ、やっぱりせっかくだから魔力検査システムで確認しながら変身解除しようかに!」
「ん、了解。それじゃ行こうか、多仲さん」
「あ…あの」
「ん??どうしたの??」
「こ、これからは一緒に戦う仲間として…出来れば名前で呼んで欲しいです。
この姿の時はヒマリ、そして変身時はマリと…」
………ハッ!?
一瞬意識が飛んでた。頭の中では多仲さんとの結婚式の映像が流れてた。
そんな事してる場合じゃない!彼女をヒマリと!マリと呼んであげるのだ僕!
…新婚旅行は宇宙一周でいいよね?妖精界?ミュルみたいなのばかり居そうだからやだ。
「りょ、了解。じゃ僕もレント、変身後はレンって呼んでね。
…それじゃ行こうか、マリ」
「はい、レン」
部屋に入ると既に魔力検査システム脇のパソコンを操作して準備完了っぽいミュルが居た。
多分何が起こるか分からないその状況にワクワクしてるんだろう。研究者気質なのかな??
とりあえず僕はシステムの中にある台座の上に仁王立ちしてみる。マリに見られてなんか恥ずかしい。
仁王立ちしながらミュルを見ると手?前足?で『OK』のジェスチャーをしてた。それその手でどうやってるの?
…軽く深呼吸。解除出来る可能性が高いとは言うけどイレギュラーな以上、失敗する可能性も当然ある。
鬼が出るか蛇が出るか。成功と失敗…だけならいいけど何か別のものになったりしたら悲惨だよね。
もし、神話生物にでもなったらミュルのSAN値だけでも削りきってやる。マリには見せないようにするね。
失敗した時の不安を和らげるためにふざけてみるがやっぱ怖い…。いや怖じ気ついてる場合か!
成功させるぞ!成功させるぞ!成功させるぞ!…よし、気合十分!輝く未来へ向かってレッツゴー!!
せっかくだからさっきのポーズをやってみよう。
ブレスレットを右手に嵌め、仁王立ちの足そのままに天を突く様に腕を上げた。左腕は腰の脇辺りで折ってる。
それでは皆さんご唱和ください!
「へーんしーん!……解除っ!」
赤髪魔法少女の体が柔らかい赤色の光に包まれた。
光はすぐ消える。目の前には先程と同じ所にミュルとマリが居た。
二人共それぞれ「驚愕」って感じの顔をしている。…お、これは成功してるんじゃない?
目を見開き口をあんぐり開けるマリ。美少女って凄いな、そんな顔してても可愛さが溢れ出てる。
ミュルも同じ驚愕の顔をしている。ホントお前それブサカワ超えてブサイクだからな!気を付けなよ!!
二人の顔と自分の目線位置から少なくとも化物になってたり、失敗したりはしてなさそうだ。
……やったか??
とりあえず自身を確認する為に下を見る。なんか昨日もやったねこれ。
昨日と異なるのは垂れ下がる帽子が無い、そりゃそうだ変身解除したんだし。
そのまま着ている物を確認する。
…おお……昨日振りの制服だ。ちょっと汚れているのは昨日の戦闘によってだろう。
成功した、成功したんだ!変身が解除されたぁああああ!勝ったな!!!
ありがとう魔法具制作チーム!!後で菓子折り持ってお礼に行くよ!!羊羹とか食べれる??
「変身解除出来たよ!みんなありがとう!!」
……ん?なんだ?僕の声はそんな高く無いよ。誰だ僕の第一声を遮ったのは。
その声を聞いて現実に戻ってきたのかマリが持っていた学生カバンを漁り始めた。
そして丸い…コンパクトミラーかな?を取り出し僕に鏡面を向けてくる。
鏡面には昨日カーブミラーで見た顔と同じ―――
―――赤髪魔法少女の顔が写っていた。
「………は??」
部屋には少女の間抜けな声だけが静かに響いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます