第4話 窓辺の多肉植物と私の青い鳥。



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 窓際には、未だに多肉植物を飾っている。

 彼は誕生日でも何でもない日でも、思い付いたように「お土産」と言ってプレゼントをくれた。これも、その内の一つ。

 なんか可愛くて、と彼は笑った。毎朝見る度に癒されるよ、きっと。と。

 今は、君を想って私を哀しくさせる。


(『さよなら』を言ったのは、私の方なのにね……)


 つん、とその葉っぱを人差し指で突く。

 意外としっかりしているその葉は頼り無く揺れたりはしない。彼がこの部屋を訪れ無くなって、寂しがっているのはどうやら私だけらしい。


(………貴方は、……君は、今、何を考えてる?)


 聞こえるわけもない問い。

 今、何処に居るのかもわからない、彼に。

 彼の通う大学に行けば会えるだろう。彼の住むアパートに行けば、会える。

 でも勿論、そんなことはしない。

 私から、別れを告げたから。彼を自由にさせてあげる選択をしたから。また縛ってはいけないから。

 彼は、凄く上手に気を遣う。

 そうして、不器用に磨り減らしていくのだ。自分自身を。

 それに気が付いた時、ああ、別れなくちゃ。と思った。

 彼が言ってくれた言葉。くれた優しさ。愛おしい時間。笑顔。沢山のプレゼント。幸せな想い出達。ーーーその何処にも、きっと嘘はなくて。でも、私が彼にそうさせてしまったのであろう沢山のことで溢れていた。



 出会った時から、そうだ。


 苦手なくせに、臆すること無く私に合わせてコーヒーを頼んだ彼のことを想う。

 それから、彼にとって優しくない世界のことを。

 言うなれば、彼は私の“青い鳥”。

 でもじゃあ、果たして。私は、彼の“青い鳥”になれていた?ーーー答えは、簡単。



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