第28話 新しい生活

 1月1日 10:00

 ラッパの音が響き渡り、最高の音楽団が軽快なメロディーを奏でる。

 俺,セージ,キャシー,アレクセイ,マックの5人は、仕立ててもらった衣装を着て城のバルコニーに立った。男子の衣装は、黒のワイシャツにピタッとした黒のズボン、それぞれのイメージカラーのマント。昔からのしきたりとして決まっているものだ。キャシーは、黒のブラウスに黒のスカートを履き、俺たちと同じようにマントを羽織っている。イメージカラーは、俺が赤,セージが青,キャシーがピンク,アレクセイが緑,マックが黄色。パキッとした色だと目が疲れるので、少し落ち着いたディープトーンで揃えてある。


 とうとうチームの正式公開をすることにしたのだ。これからチームのみんなは、学業と魔法使いとしての仕事を両立することになる。


 スピーチの時、本来チームの人数は6人だが、あと1人は探しながら活動を始めることになった、と説明しておいた。

 他の人もこれからの意気込みや、熱い思いを語ってくれた。

 相変わらずアレクセイは短文で「がんばります。」とだけ言っていた。


 最近は襲撃が多くて魔物が減ったため、魔法使いの仕事はパトロールや人助けなどが多い。治療薬などの魔薬を作る者もいて、人数の割合は半々くらいだ。


 魔薬は普通の植物に少しだけ有害なので、天空に島を作ってそこで育てている。


 俺たちチームの初仕事は、傷を癒やす魔薬の苗をその島に植えることだ。

 ほうきでその島まで飛んで行くと、専門の魔法使いがやり方や豆知識などを教えてくれた。

 

 「この畑にはあっちの方で作っている肥料がまいてあるんですよ。上空だと植物を育てるのに都合が悪いことがいくつかあるでしょ?例えば気圧だとか天気だとか…ね?だから肥料で助けてあげるんです。そうしたら、骨折まで治っちゃう魔薬が出来上がるんですよ。」低めの落ち着く声で畑の管理人の婦人魔法使いが言った。

 

 次の仕事はパトロールだ。

 父上と同い年くらいの(セージ曰くダンディーな)魔法使いが一緒にほうきで飛びながら説明してくれた。「この前一気に倒しちゃったから魔物はあまり出ないんです。しかしご存知のように、"全滅"という概念がないのがやつらの厄介なところでしてね。倒しても倒してもまた新しいのが出てくる。まあ、少ないのが不幸中の幸いってところです。あとは、国民のお手伝いもします。わたし達ペリドットが国の平和を守っていたり、より便利にしていく代わりに、食べ物を作ってくれるのは彼らなのでね。畑仕事の手伝いや、牧場の手伝いもしますよ。チームではこれから、週3回程パトロールをするんですよね?きっとみんな助かると思います。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る