第23話 ひどいわぁ

 「より親しい関係になること。ほら、セージとキャシーみたいに、一緒に帰ったり、ご飯食べに行ったり、休日に会ったり。」"付き合うとは何か。"についてデイジーは説明してくれた。

 「いつも一緒に帰ってるしご飯も食べるし休日の訓練も付き合ってくれてるじゃん。」そう言って俺は歩き出した。

 デイジーもちょこちょこっとついてくる。「確かに…。でもそれってマネージャーとしてでしょ?ガールフレンドとして、さ?」

 「ちょっとよく分かんない。」

 「…分かった。じゃあレオが恋というものを知るまで待ってるね、私。」

 「うーん…?」


 「ほーん、で、そのまま普通に帰って来たと…。」俺から肝試しの時の話を聞いたセージはため息をついた。「ほんとにお前さ…間が悪いというか…ひどいわぁ…。」

 「ひどいって何だよ。それより、お前は?キャシーとペアになれたんだろ?」

 俺が言い終わる前に、セージは「しっ!」と言って人差し指を口に当てた。「先生に聞かれてるかもしれないだろ。」

 「あ、ごめん。でも良かったな。表情でバレてないといいけど。」

 「そこはキャシーにテレパシーで伝えて、普通の演技してもらったよ。俺もキャシーもどっちもモテるじゃんか?だから、お互いそっけなく、でも優しくみたいな?だからバレてないと思う。…でもルートの中だと、肝試しマジックみたいなのあるのかと思うくらいドキドキしちゃってさ。そういうのなかった?」

 「なかった。他の女子だったら緊張はしたと思うけど、デイジーは全く。」

 「…ま、まあ、素でいられるっていうのもいいことか…。」

 セージが困った顔をして考え込んでいるところに、また先生がやって来た。「セージ。今日は隠せたと思っても、そのうちいつかバレるんだからな。覚悟しとけ。」

 「ちなみにどうだと思います?」セージはさっきより余裕を取り戻して言った。

 「…難しい。普通な演技かもしれないし、あれが素なのかもしれない。そうだ、レオは演技が上手だったが、ペアの相手はそうでもなかったみたいだな。バレバレだぞ。」

 「はい?」俺とセージは同時に声を出した。

 「出てくるとき顔が赤くなってた。3組のデイジー・ドナシアンだろ?チームのマネジャーなんだとか。」

 「あー…」

 俺が返答に困っていると、セージが「彼女、化粧きついんですよね。いつもチークつけすぎちゃうみたいで。」と言ってくれた。

 先生が俺たちの後ろを見てクスクスと笑うので振り返ってみると、そこにはデイジーが立っていた。「それ助け舟のつもり?先生、レオは恋を知らないんですよ。私はただの、チームのマネジャーです。ちなみにお化粧にも興味はないのでチークはつけてません。ただ、…怖くて走ったんです。私体力ないから、それで顔が赤くなっちゃって。」

 

 

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