第18話 手紙
俺は手紙を広げて読み始めた。「わたしはキラージャックとの戦いの後、夢を見た…」
「違うだろ、さっき長文読んだから疲れたのか?もう、俺に読ませろ。」隣からてがみを覗き込んでいたセージは、そう言って手紙をぶん取った。
「わたしの大好きな、いや、愛する、親愛なる、自慢の、最高のレオへ。わたしはキラージャックとの戦いの後、夢を見た。何故だかは分からないが、すぐに正夢だと確信した。ジョーが襲撃してくる日の一部始終を見て、この手紙を書いたのだ。レオ、本は読んでくれたか。序詞だけでも読むと、この国の歴史についてよく分かるだろう。偉大な魔法使いペリドットが封印したドラゴンや、魔物、悪の魔法使いについてもよく分かったはずだ。この国の平和は、ペリドットに託されている。その責任の重大さを理解し、頑張って欲しい。
もしお前の代でドラゴンが現れてしまったらと思って、わたしの魔力量をお前に譲渡することにした。体に触れるだけで譲渡はできるからその時は気付かないだろうが、お前が魔法を使った時、自分の魔力量が増えていることに気が付くだろう。
これからのことはもう話したが、一応言っておく。王として国を守る仕事をしてもいい、まだ学生として青春するのもいい、そうすると宰相を立てるのもいい。自分で決めなさい。また決断で迷った時には、もう助言はしてやれないが、お前の最強の想像力で想像するのだ。どうしたら国民は喜ぶか、どうしたら国がより平和になるかを。ただ、早めに戴冠式を行うといい。国民が安心するだろうから。良ければ、わたしの葬式も早めにやってくれ。
死ぬ時もこの言葉を言っただろう。お前はわたしの自慢の息子だ。そして国民の自慢の王になるだろう。自信を持って生きろ。」
手紙には、「悔いのない会話ができて良かった。もう未練はない。だが、セージは父親と仲が悪くあまり話せていない。きっとトニーが亡くなったら、ひどくショックを受けて後悔することだろう。お前がサポートしてあげろ。」という文章も見えたが、セージはその部分を飛ばして読んだ。
「ありがとう、セージ。」俺はそう言ってセージから手紙を返してもらった。セージが読んでくれていなかったら、泣きながらで凄く聞きづらいものになっていただろう。セージも涙を堪えているが。手紙に涙がこぼれてにじまないよう、畳んでポケットに入れた。
キャシー,デイジー,マックは堪えきれず涙を流し、セージとアレクセイも涙を堪えて歯を食いしばっていた。
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