僕の愛しき全ての人へ 1

 「奥田誠四郎の搬送されたのはどこですか!?」

 病院の受け付けに息を切らしながら誠四郎の搬送先を聞く。

 「あの、あなたは__」

 「親友です!」

 一刻も早くつきたかった。

 「…分かりました。」

 俺は場所だけ聞き出し、急いでそこに向かった。

 

 誠四郎の手術室の前で10分程待っていると、誠四郎の母親がやって来た。おばさんの顔は真っ青だった。おばさんは俺が誠四郎と友人になってから本当に良くしてくれて優しい笑顔の人だった。

 俺はその顔を見て、悔しさを感じずにはいられなかった。


 搬送されてから約1時間程がたった頃、一人のいしが手術室から出てきた。俺はすぐに安否を確認する。

 「誠四郎は助かりますか!?」

 「命に別状はありません。」

 俺はそれを聞いて安心した。生きていてよかったと。 たが、それだけではなかった。

 「ただ、意識がいつ回復するかは分かりません。」

 「「え?」」

 それはつまり、数年たっても起きない可能性があると言うことだ。

 その間、誠四郎の時間だけが動き、回りの人間とは、空白の時間が出来上がる。


 何故この聖人のような青年がこんな目に遭わなければならないのだろう。

 俺とおばさんは、再び絶望へと落とされた。 



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 次の日、学校は変わらず行われている。誠四郎の飛び降りは生徒達の中で話題となっていた。

 俺も一応学校に足は運んだが、誠四郎の親友である俺は、誠四郎についての質問をされるばかりで、幸崎も学校に来ていない。あの屑野郎は関係ないとばかりに、今も飄々としているだろう。

結局、誠四郎のいない教室は、俺を不快にさせるだけで終わった。


 (誠四郎は望まないだろうが、ここまで誠四郎を追い込んだ幸崎と屑野郎に、他人のことに土足で立ち入ろうとするクラスの奴らも、心の底から呪ってやりたい!)

 

 

 そんな考えを持ちながら、家に入ろうとした俺の視界に、1枚の封筒が入った。

 それを手に取ると、見慣れた字で「僕の愛しき全ての人へ」と書かれていた。


 俺はこれが誠四郎からだと分かると、家に入り、玄関で封を開けた。

 中には二つの手紙が入っていた。一つは俺当て、もう一つは幸崎宛のものだ


 溢れ出る涙を何回も拭いながらゆっくり読み上げる。

 

 正人へ。

 相談するって言ったこと、嘘ついてごめん。僕は心が強くないばかりに、こんなことになったことを許してほしい。そしてあんなにも僕に寄り添ってありがとう。今まで僕がこんな生き方できたのも、正人が常に僕の支えになってくれたからだと思う。親友として、本当に誇らしいよ。あと、この前好きな人がいるって言ってたね。正人だったら相手も絶対に好きになってくれるよ。頑張ってね。

 透華のことだけど、責ないであげて。僕が不甲斐ないばかりに、何か相談できなったんだと思う。でも浮気については、僕から手紙を出させてもらうよ。回りの皆に正直に言うことをね。次の人が僕のように傷つかないようにしないとだから。

 それと、透華に手紙、渡してくれるかな?俺は正人にわたしてもらいたいんだ。その時に、斎藤先輩にとは分かれた方がいいこと、伝えといて。 

 僕は本当に幸せものだったよ。

                  君の親友より


 

 読み終わったあと、俺は思わず笑った

 

 「お前はまだ死んでないだろ」

 

 俺はこういう時、毎回思う。

 

 「俺、やっぱりお前の親友でよかったよ。」

 

 そしてこうも思う。


 「やっぱお前って聖人だろ」

 

 俺にある幸崎への呪ってやりたいって気持ちは消えない。だが生きている誠四郎がこう思うなら、俺は俺のさせたい償いを必ずさせる。         

 

 「うし、やるか。」

 

 俺は幸崎の家に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき

 第五話のあと応援メッセージに寝とられものは皆さん嫌いと書かれていましたが、私も大嫌いです。想像するだけゾッとします。これは、私の偏見なのですが、ざまぁでスカッとしますよね?でも、その人が元々相当な糞野郎でないかぎり、虚しくなってしまうんですよね。

 私ってやっぱりヘタレなのかな。

 まぁそこは置いといて、誤字脱字 改善点が有りましたら、どんどんレビューに書き込んでください!

 私がヘタレかどうかでもいいですよ!

 それでは、この作品を読んでくださりありがとう!(^-^)/またね!

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