親父との決着と親友の決意
【あんたは、自分の幸福と同時に家族の幸福も奪うのか!】
‘親父の幸福‘’ たぶん誠四郎はそういっているのだろう。でも、なぜ今親父の幸福のことを話しているのか理解できなかった。
「あぁ?ガキに何が分かる?こっちはな、最愛の妻を亡くしてんだよ!!」
負けじと誠四郎が怒鳴る。その発言に俺は衝撃を受けた。
「知るか!僕だって、弟を亡くしてんだよ!」
耳を疑った。毎日のように笑顔を絶やさない誠四郎に、そんな過去があるとは、微塵も思っていなかった。
俺はあの時、誠四郎が言っていた本当の意味を理解した。
「いいお兄ちゃんでいるためだよ。」
あの返答は、生きている弟に対してではなく、亡くなった弟に対しての言葉たったのだと。
まだ、いい足りないとばかりに怒鳴り続ける。
「弟は目の前ではねられた!まだ小学生1年生だった!今でも思い出す。もっと強く手を繋いでいれば、もっと注意していれば、弟が助かったんじやないかって!それ以外にも、もっと優しくしていれば弟は幸せだったんじゃないかって。」
深呼吸を挟み、落ち着きを取り戻してからもう一度話し始める。
「弟はよく言っていたんです。お兄ちゃんが幸せなら僕も幸せ、て。だからいなくなった弟の分も周りを大切にしようって、そしたら少しでも弟も幸せかなって。」
そこから、誠四郎の一番の怒りが吐き出された。
「なのに、あんたは!奥さんを亡くしたなんで、奥さん幸せを奪うと言うのか!?あんたの愛した奥さんが愛した息子さんを、傷つけるというのか!?ふざけるな!自分の幸せも家族の幸せも奪うのなら、あんたの奥さんへの愛は偽物だ!」
これを聞いた親父は誠四郎の胸ぐらをつかんで怒鳴り散らす。
「お前に俺の妻への愛を偽物とはいわせねぇ!」
俺はまずいと思って親父を止めようとしたが、それより早く、誠四郎がいい放つ。
「だったら、あんた自身も正人も幸せにしろよ!あんたの愛した奥さんを裏切るな!」
それを言われた親父は誠四郎の胸ぐらをはなし、そっと俺に質問してきた。
「おい正人、俺が嫌いか?」
俺は小さい声で「うん。」と答えると、「そうか。」と返して寝室へと歩いていった。
誠四郎は玄関前まで見送り、「もしまたなんかあったらいってね。」といって帰っていった。
俺はまだ、実感がなかった。あの飲んだくれの親父が、まだ12にも満たない少年に圧倒されたこと、あの誠四郎が弟のことを背負いながら生きていることに。
そして誓う、誠四郎の親友として誠四郎の支えとなることを。
そしてその日、親父は酒を飲まなかった。
あとがき
こんにちは。またははじめまして。@snikuです。
今回は親友と彼氏の過去編 完とさせていただきました。私も昔近所に弟のような子がいたのですが、その子はダウン症で早く亡くなってしまい。泣きまくった子とがあります。その子はとても無邪気ですごく可愛がっていたのでショックでした。
悲しい話はここまでとして、今回も誤字脱字や改善点がありましたら、レビューに書き込んでください。
最後にこの作品を読んでくださりありがとうございました。レビューお待ちしております。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます