テオドール

織風 羊

第1話 遠雷

探し物を見つけに出た旅先で見たものは

灰色の雲に包まれた山々を白く光らせる遠雷

山と山の間には雨が降っているのだろうか

峠を越えた山間部にあるのは大きな街なのだろうか

それとも小さな村なのか

渓谷があるのかも知れない

それとも私が今居る場所のように小さな野営地があるのだろうか

そこは雨に煙る山道なのだろうか

そこでは逞しい腕を濡らす人が凍えているのか

雨の中で細い肩を震わせている人がいるのだろうか

夏の雨は山間ならば人に優しさを与えない

ここからは遠く雷が聞こえている

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