3話 何だろう?

 仕事が好きだ。

 今の職場が好きだ。

 みんな、いい人だ。

 でも、怖い自分もいる。


 今日もホームの端を歩く。

――熱中症とかになってホームに落ちて電車にはねられないかな?

 昨日ほどではないが胸がどきどきした。

『奴』は言う。

――死にたい

――楽になりたい

――もう、何もしたくない

『何で?』

 奴は黙る。

「それはお前自身が一番知っているはずだ」

『分からないから聞くんだろ?』

 電車が通り、ドアが開く。

 車両の冷房が私を少し落ち着かせる。

 奴は再び沈黙した。

 胸がきしむ。

 

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