第9話 酔っぱらいの告白ーVer.しゅんすけー


「……怒ってません。」


ふぶきはうつむいて酔っぱらい相手に赤くなった頬を隠しながら小声でつぶやく。


「ぐへへぇ!なら良かったぁ!!美少女に嫌われるとぉ………悲しんもんねぇ………うわぁぁぁぁぁ!!!!かのじょほすぃ!!!」


その返答を聞き、喜んだと思えば突然悲しみだす彼は、たしかに酔っ払っていた。それもかなり重症。


「もうわかりましたからっ!落ち着きましょう?」


さすがにいろいろなことに耐えきれなくなったふぶきが周りの目もありますからと、彼を宥める。


「うぅぅ……ふぶきちゃんは?」


「え?…はっはい。」


騒ぐのをやめた彼が突然自分の名前を呼んだので驚きつつも、彼女はそれに返事をする。


「ふぶきちゃんは付き合ってくれるのかって聞いてるの!!」


再び声を張り上げたしゅんすけが手に持つガラスのコップをテーブルに置いて叫ぶ。


「ほええ!?」


その言葉を聞いてやっぱり何故だか照れるふぶき。


この男にしてこの女あり。

どっちもどっちでお互いが少し…………というかかなり狂っている、しゅんすけとふぶきなのだった。


「うっわかわい。やっぱふぶきちゃんいいねぇ。かわいーよ。どう?僕と付き合わない?僕ねぇ、頭悪いしぃ、顔も悪いしぃ、背も低いしぃ、短大生だけどねぇ…」


椅子の上で背筋をピンと張って、シャツを正しながらそういうしゅんすけ。

どれだけ見繕っても、酔っ払いなのは変わらないが。


「…………はい。」


立て続けに褒められて恥ずかしくなりながらも、その言葉の続きが気になるふぶきは小さめだがしっかりと返事をした。


「誠実なんだよぉ?自分で言うのも何だけど、浮気だけはぜっっっっっっっっったいにしないよぉ!!ねぇふぶきちゃぁん!」


しゅんすけはにっぱぁと太陽も呆れる満面のスマイルで言い切る。


「…な、なんです?」


あとに続く言葉がなんとなくわかって、赤くなり始めたふぶきは、


「あのね。だぁいすき!!」


そんな決定打が放たれると同時に、すっと立ち上がる。


「……………………。」


そしてその場を足早に去っていった。


「あぁ、行っちゃった。」


残されたしゅんすけは一人、悲しくつぶやくのだった。

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